2010-01-01から1年間の記事一覧

「宗右衛門町ブルース」(3)

発売から今日まで、「宗右衛門町ブルース」の売り上げはレコード、CDの合計で 200万枚を超えている。 平和勝次さんは現在65歳で、いまもソロの歌手として現役である。 彼は、この10年、全国の老人ホームなどを巡りながら、チャリティで「全国縦断 …

「宗右衛門町ブルース」(2)

平和勝次さんは、上方の漫才師平和ラッパの弟子だった。 平和勝一・勝次のコンビで、ギター漫才をやっていたが、オモロない芸で売れなかった。 苦労ばかりしてきた人で、父親は浪曲師で母親が三味線弾きだった。 旅回りの貧乏浪曲師の子に生まれたから、母親…

「宗右衛門町ブルース」(1)

平和勝次とダークホースのヒット曲「宗右衛門町ブルース」は わくわく亭のおはこの一曲である。 おはこといいながら、長年元漫才師であった平和勝次のオリジナルの持ち歌だと 思っていた。 作詞は平和勝次であり、作曲は山路進一である。 ところが、原曲があ…

尾道に韓流ブームか

今朝のNHKBS放送の「列島ニュース」を見ていたら、広島放送局が韓国ドラマのロケ地が 尾道に決まった、と伝えていた。 韓国ドラマは日本でも「韓流ブーム」という言葉が大流行したほど人気がある。 わくわく亭は韓国ドラマは見たことがないのですが、「…

グランプリ全国大会

9月23日の記事「わくわく亭女房奮戦記」のこれは続報です。 わが女房はベイキングの趣味がエスカレートして、家の近くの食品スーパー「マルエツ」の 中にある「リトルマーメイド大泉学園店」でパートをはじめました。 もう何年か前からです。 なにしろ多…

メディアの無知

日本のメディア報道が、ときどき明らかなミスを犯すのを目にすることがある。 報道の主要内容ではないからと、見過ごしても「誤報」とはならない程度の ことではあるが、なぜ新聞社のデスクがチェックしないのかと、わくわく亭のように 報道の枝葉末節にもこ…

宮本常一

今日から秋の読書週間である。 朝日新聞が作家と美術家4人に、若者に贈る3冊の本を、それぞれに尋ねている。 面白いことに、2人が民俗学者宮本常一の『忘れられた日本人』(岩波文庫)を 挙げている。 その2人とはノンフィクション作家の佐野眞一さんと…

「てっぱん」主題曲

NHKドラマ「てっぱん」の主題曲がいいね。 あの曲の曲名は「ひまわり」というらしい。 作曲者は「情熱大陸」のテーマ曲でおなじみのバイオリニスト葉加瀬太郎さんです。 葉加瀬さんは、とても陽性な人柄で「ひまわり」のような向日性の持ち主らしい。 「…

現代小説のリアリズム

朝日新聞で、斎藤美奈子さんが担当する今月の「文芸時評」を読む。 小説のリアリズムについて、同人雑誌の作品と、商業誌の新人賞作品を比較対比していて 面白い。 まず、「文学界」11月号の寄せられた伊藤氏貴さんの「同人雑誌はいま―『新しさ』の呪縛 を…

新里猛(にいざと たける)

新里猛さんは、まだ若い油絵作家です。たしか28歳くらい。 とても幻想的な絵を描く画家で、はじめての個展が9月29日から10月5日の期間 福岡の大丸博多店で開催された。 といいながら、わくわく亭はその個展を観覧してきたわけでもない。 彼のお父さ…

「てっぱん」踊りの募集

NHK朝ドラ「てっぱん」で、一風変わったオープニングダンスを市民有志が踊っています。 あのダンスを踊る映像をNHKが募集しています。 2~8人のグループで踊る姿を録画してNHK大阪に送ると、審査して、合格すると あのオープニングタイトル内で放…

望景亭

写真は姫路文学館の庭内にある茶室「望景亭」である。 17日の日曜日、早朝家を出て、8時50分発の新幹線のぞみで姫路へ行く。 午後1時から姫路文学館館内での「姫路文学」123号の合評会に出席した。 夜は駅のそばのホテルに一泊し、翌朝は友人と3時…

本居宣長の色好み

丸谷才一さんの『文学のレッスン』(新潮社)は面白い、文学のお勉強の本です。 折口信夫対小林秀雄による本居宣長論争を説明する中で、 儒教と仏教が到来するまえの日本には“色好み”という信仰もしくはモラルがあって、 その体現者が光源氏だという認識が、…

まけなかった、ヒカルくん!

「ヒカル」くんのことは、このブログの書庫「尾道ものがたり」の中で、 『尾道少年 ヒカルくん』として最初紹介した。 2007年9月で、(1)~(4)まである。 わくわく亭が久しぶりに郷里尾道に帰って、詩人の花本さん、花本夫人、そして花本さんの孫…

光栄です!

尾道は近年の市町村合併の流れに沿って、市域を拡大してきました。 瀬戸田、因島の合併で人口は15万人を超えたそうです。 それまで因島市出身者だったロックバンドのポルノグラフィティ、女優の東ちづるさん、 『告白』で本屋大賞を受賞したミステリー作家…

75ドルの市民サービス

自分の家が火事になった! 消防署に電話する。 「火事です。すぐ来て消火してください」と助けをもとめる。 「そちらの場所と名前をどうぞ」 「こちらは○○町△△通りの、□□というものです」と告げる。 「□□さん?待って下さい。コンピューターでしらべています…

なんでかな?

わくわく亭は先頃から「ツイッター」をはじめる、というか、どんなものかのぞき見、立ち読み をしています。 おもしろい「つぶやき」をせっせとする「特殊」な人達がかなりいます。 つぎつぎと自作の回文を「つぶやく」才人もいれば、おもしろいネタをコレク…

中国新聞の書評

広島県の新聞「中国新聞」が10月3日の「読書」紙面で、 わくわく亭の『尾道物語・姉妹篇 十八歳の旅日記』を「郷土の本」の欄で紹介してくれた。 写真では鮮明でないので、下のように書き写す。 青春の痛み 3編収録 尾道商業高OBで、青春時代をすごし…

ブックレビュー

WEB検索していて見つけた、書店「啓文社」のコラム。 題して「本さえあれば、日々平安」 書店員だと思われる長迫正敏さんが「お薦めする一冊はコレ!」という まじめな『十八歳の旅日記』のブック・レビュー。 若い人にこそ、この本は読んでほしい、とわ…

弓場敏嗣氏の書評

弓場敏嗣(ゆばとしつぐ・電気通信大学名誉教授)さんから『十八歳の旅日記』の読後感想を いただいた。ここに転載させてもらいます。 著者は<あとがき>で、「わたしは十七、八歳の少年たちが、彼らを取り囲 み、押しつぶそうとする閉塞感を破るためにふる…

山陽日日新聞

尾道の新聞「山陽日日新聞」で10月1日と2日と2日連続で『十八歳の旅日記』を記事にして いただいた。 10月1日のは記者の幾野伝さんによる「頼山陽の『叫び』現代に」という記事。 今年の2月尾道を訪れたときに、幾野さんが艮神社の参道で撮ってくれ…

短編{かれらの風貌」(11の11)

ラッキーが幾日も大便をしないことがあった。 動物病院に訊いてみると、のませている鎮痛剤のせいで、 そのうちに出るようになるから心配はいらない、と教わった。 ある日ゴムマットを洗い、ついでに玄関内の掃除をしていると、下駄箱の下のすきまに、 丸い…

短編「かれらの風貌」(11の10)

三頭の犬たちの終末をくらべてみると、三者三様だったことがよく分かる。 なかでもラッキーについて書いていると、母のさいごの日々が思い出されるのは、 ラッキーの状態が母の様子に一番似ていたからだろう。 さいごの六ヶ月間、母は歩行困難となりベッドの…

短編「かれらの風貌」(11の9)

朝は食事をさせた後に鎮痛剤を与え、夜は睡眠導入剤を与えた。 鎮痛剤も眠くなる成分が含まれているのだろう、食後はしばらく眠っているから、 ぐるぐる回って、もがきまわる姿を見ないですむ。 その間に、タオルの交換や包帯の巻き替えをすませる。 夜の薬…

短編{かれらの風貌」(11の8)

人間同様、長寿の犬に認知症の症状がでてきてもふしぎではないのだろうが、ラッキーの眼の中にも、 顔の表情にも痴呆めいたものは影もないから、にわかには信じがたい思いがあった。 処方された鎮痛剤をのませると、むやみに吠えることだけはなくなった。 頸…

短編{かれらの風貌」(11の7)

(3) 前章を書き終えた時点で、『かれらの風貌』は脱稿のつもりでいた。 ところがその後でラッキーが死んだ。とうとうわが家の飼い犬はみんないなくなった。 ラッキーのことも書いておいてやらねば公平を欠くだろうからと、この章を書き足すことにした。 …

短編「かれらの風貌」(11の6)

そんな状態が十日間つづいた。土曜日の夜だった。 息子が二階から下りてくると、居間にいた私と妻にいった。 「チビがおかしいよ」 チビは臨終のときをむかえていた。 タオルにつつまれて横になり、口を大きくあけて弱々しい呼吸をしていた。 吸い口で彼女の…

短編「かれらの風貌」(11の5)

(2) オス犬のオッキーが死んだ翌年にはメス犬のチビが死んだ。 八月末の猛暑の時分だった。 彼女はシェルティーの雑種で、下の息子が貰ってきてから十五年になったから、 オッキー同様に人間の年齢でいえば八十代の老婆だったろう。 名前のチビは、貰われ…

短編「かれらの風貌」(11の4)

届けをした木曜日の午後、動物保護センターから連絡があったらしい。 あらたに収容した犬があったので、その特徴を知らせてくれたのである。 妻は、うちのオッキーではなかったといった。 金曜日の朝の九時前、私は出勤の支度をしていた。電話は朝霞保健所か…

短編「かれらの風貌」(11の3)

私の記憶の隅に、別のオス犬の姿がある。 保健所に雇われた犬捕りにつかまって連れ去られていくナチの姿だった。 長い棒の先端についた金属の輪で、首をひっかけられて捕獲されたのだった。 犬捕りはボロの衣服を着た大男であり、蓬髪の下には垢で汚れた黒い…