詩人たち歌人たち

快挙なり

昨年9月12日に「西橋美保の新歌集『うはの空』」の記事で紹介した姫路在住の歌人 西橋美保さんの歌一首が、「NHK短歌」3月号で高野公彦選になる「巻頭秀歌」十首の 中に選ばれています。 その十首とは、明恵上人、釈迢空や古今和歌集の読人しらず、今…

西橋美保の新歌集「うはの空」

西橋美保さんの歌集『うはの空』が出版された。『漂砂鉱床』から17年ぶりの新歌集である。 481首が収められている。その歳月の中で作者の生活が大きく変化したことが分かる。 お子さんの成長の喜びもあれば、婚家での苦しい思いや、家族の死などへの複…

山口美沙子さんの詩から

尾道在住の詩人山口美沙子さんから「くり屋」64号が届く。 彼女の「買物」という詩がおもしろい。詩の前半は次の通り。 飲み終わるまで何時間でも 熱いままのコーヒーカップ 下さい この店にはありません 一度食べると一ヶ月は食べなくてもいい 食品を下さ…

詩集「羽曳野」

澪標の松村さんから山田兼士さんの詩集『羽曳野』を送ってもらった。 山田さんの第三詩集。氏は詩集のほかに詩の評論、翻訳など多数の著書がある。 まだ面識はないが、わくわく亭の大学の後輩にあたる。 表紙の写真がすてきなので、紹介する。山田氏の撮った…

「秋」の詩

尾道在住の詩人山口美沙子さんから詩の小冊子をもらった。 彼女の作品は「秋」である。

韓国から

写真の女性は韓国ソウルに住む李承信さんである。 彼女の母は、植民地時代の1923年に東京で生まれ、日本で短歌を学び、帰国後も 韓国の世間から批判を受けながらも、歌を詠み続けた歌人である。 李さんは、ソウルでレストランを経営しながら、自らも韓国…

「くり屋」47号

尾道在住の詩人山口美沙子さんから、「くり屋」47号をいただいた。 「くり屋」は広島市在住の詩人木村恭子さんが発行されている、ちいさな、かわいらしい 手作りの詩集です。 47号には秋島芳恵さんと山口美沙子さんの詩も掲載されています。 山口さんは…

歌集「ためらう女」

藤木明子さんから歌集「ためらう女」を戴いた。 藤木さんは詩人として承知していたので、すこし意外の感を受けたのだが、 いつぞや「もう詩集は出しません」というお便りがあって、それではどちらへ 転進なさるのだろうか、と考えたことがあった。すぐれたエ…

石山淳詩集「邪悪な者」

姫路の詩人石山淳さんから新詩集「邪悪なる者」をいただいた。 氏の8冊目の詩集です。 ことし75歳になると「あとがき」にある。 その75歳の詩人であればこそ書けるという作品を1篇紹介しよう。 この詩集の中で、僕が一番好きなものです。 すこし長いの…

「レモンの香りが」

先月尾道へ行ったときに、尾道在住の詩人山口美沙子さんには会えなかった。 ちょうど,その日に彼女のお姉さんの夏子さんが亡くなったためだった。 夏子さんには、わたしも学生の頃、ほんの2度ばかりお会いしたことがあったが、 とても美しい人だった。 じ…

俵万智さんの詩

わくわく亭の本はすべて「澪標」からの発行です。 代表の松村信人さんが大学の後輩である気安さから、なんのかのと、無理を言いながら、 9冊も出版してもらった。 「いつか大化けして、ベストセラーになり、映画化されて、在庫一掃。いい夢を見よう」 など…

詩はどこへ行ったのか

詩人の谷川俊太郎さんへのインタビュー記事を読んだ。 この「わくわく亭雑記」を読んでくださっている方の中にも、何人か詩をかいている 人がおいでになるが、そうした方々にも関心のあるテーマだろう。 そう、「詩はどこへ行ったのか」 谷川さんは、まず「…

詩 「憂きことを」

尾道在住の詩人、山口美沙子さんから、手紙に添えて、この美しい詩をいただいた。 桜の花と、新緑のイラストを配した、こころのこもった一葉である。 写真が鮮明でないのが申し訳ない。 山口さんにことわりなく、紹介させてもらうことにした。 彼女は最近、…

今週の「朝日歌壇」入選歌

「ホームレス歌人」というニックネームがつけられた投稿歌人公田耕一さんの歌が、今週の「朝日歌壇」 に2首入選している。 公田さんは朝日新聞が連絡をしてほしいという呼びかけの記事は読んではいるが、 「連絡をとる勇気は、今の私には、ありません。誠に…

「ホームレス歌人」続報

2月16日の記事で「朝日歌壇」に投稿する「ホームレス歌人」公田耕一さんの入選歌を紹介した。 その中にシャンソン歌手ジュリエット・グレコの歌を詠い込んだ次の一首があった。 美しき星座の下眠りゆく グレコの唄を聴くは幻 この歌について今朝の朝日新…

ホームレス歌人の入選歌

朝日新聞には「朝日歌壇」という投稿歌のページがあり、月曜日の朝刊に掲載される。 選者は馬場あき子、佐々木幸綱さんなど4人。 ここに昨年末ころから毎週のように入選を重ねる歌人がいる。 歌人の名前は「公田耕一」さん。 投稿者はハガキ一枚につき1首…

現代学生百人一首

朝日新聞の天声人語が「現代学生百人一首」なるものから9首を紹介している。 東洋大学が毎年募集しているものらしいが、全国の学生さんたちから今年は63、000首の応募が あったらしい。 紹介されている9首のうち、3首をここに転載します。 高校2年…

ご近所の川柳作家

丸山貞治さんから川柳集『夜明け前』をいただいた。 通り一本北側に住む丸山さんは、正確にはわくわく亭の知人というより、 わくわく亭の女房の知人です。 丸山さんは、奥さんには先立たれたものの、娘さんの家族と、川柳を詠みながら、 定年後の悠々自適の…

歌人(3)

ふたたび、西橋さんの、女性歌人らしい、女性の状景の歌を読んでみよう。 火星人が脱皮するならこんなものか夜ふかぶかとパンストを脱ぐ 爪先でサンダル揺らしてポンパドゥール夫人を気取るひとときもある それで誰を愛してゐたのと遠き日のわれに問はれつ木…

歌人(2)

西橋美保さんの歌を、もうすこし読んでみます。 「第一子誕生。お宮参りの春の日から私は歌をはじめた」と詞書きして、 うまき乳の溢れ流るるわれなれば化粧もせぬに花の香のする 眠る子のお指を取りて爪切れば砂場の砂がさらりと落ちる お幸せねと人に言は…

歌人

歌を詠む若い女性が、恋をして、愛に抱かれ、妊娠しながらも失い、また子にめぐまれて、母となり、 育ちゆく子らとともに、歌人としての才能が、みごとに開花する過程を、その短歌集は絵巻のようにひら いてみせるのです。 歌集は『漂砂鉱床』といい、歌人は…

「ありがとう」

朝、ポストに新聞をとりにいって、コリウスの鉢に小さなバッタがとまっていたので 写真をとった。 妻によると、コリウスは細い茎がのびて小さな花が咲くのだが、そうすると 葉がダメになるので、葉を茂らせるために、花の茎は切ってしまうのだそうだ。 花よ…

上級コースのエロスの味

詩人藤木明子さんの詩集『どこにいるのですか』は2005年6月に編集工房ノアから 発行され、わくわく亭は幸運にも、すぐに入手することができた。 【ISBN4-89271-592-1 C0092 ¥1900E 編集工房ノア TEL 06-6373-3…

『湾』の石山淳さん

石山淳さんから詩の同人誌『湾』26号が届いた。 石山さんはこれまでに、すでに8冊の出版された詩集をもつ、円熟期の詩人です。 そのうちの1冊が写真の『石山淳詩集』で、2007年1月、日本図書刊行会の「トレビ文庫」から発行されたもの。 『湾』には…

光受くる日に

松村信人(まつむらのぶと)さんの第2詩集。第1詩集から27年ぶりの詩集の出版だそうだ。 1948年生まれで、全共闘世代、いわゆる団塊の世代でもある。 彼の詩には、全共闘時代の闘士として、たがいに激情と挫折を共有していた友人たちの死、それは自…

滅びや遊べ花吹雪

「死を想え」のサブタイトルをつけた詩人中野朱玖子さんの詩集『詩苑物語』を紹介したが、わくわく亭は詩よりもむしろ、彼女の短歌と俳句が好きだ。 彼女のようにすぐれた歌人(ここでは詩人と呼ばないで、歌人と呼ばせていただこう)と、わくわく亭のように…