中国新聞の書評

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広島県の新聞「中国新聞」が10月3日の「読書」紙面で、

わくわく亭の『尾道物語・姉妹篇 十八歳の旅日記』を「郷土の本」の欄で紹介してくれた。

写真では鮮明でないので、下のように書き写す。


青春の痛み 3編収録

 尾道商業高OBで、青春時代をすごした尾道市を舞台にした

作品が多い森岡久元さんが、10冊目の作品集「十八歳の旅日記」を刊行した。

18歳前後の少年を主人公にしながら異なるスタイルで書き分けた3編を収録する。

 表題作「十八歳の旅日記」は江戸期の詩人・思想家頼山陽が残した日記

「東遊漫録」を読み解きながら、当時山陽が抱えていたはずの心の屈折を

あぶり出していく。18歳の春に竹原、尾道で過ごした2日間を軸に、

「書かれていない事実」をミステリー仕立てで明らかにしていく語り口が鮮やかだ。

 親の期待という重圧に起因する心の病、世代間断絶、病としての性依存。

「それら、小さな家庭の中の苦しみはいつの時代にも普通にあるもの」と森岡さん。

美少女との恋を通し、少年の自意識と自信喪失が交錯する「ストローハットの夏」、

性のトラウマを抱える姉に寄り添う弟を描く「ペリット」。

全3編に通底するのは、普通の日常に潜む特別の青春の傷みだ。

古希を迎える作者が、現代の若者言葉も巧みに操り、みずみずしく描写している。