高野文子の部屋

高野文子

たまたま、八重洲古書館でギャグマンガの親分いしかわじゅんの「至福の町」という本を買って 読んでいたら、自伝風なギャグ作品「吉祥寺気分」の中に、ごらんの高野文子さんの「恐ろしげ」 な顔が出現したので、UPした。 いしかわじゅんはNHKBSで「B…

高野文子『棒がいっぽん』(4)

この本のタイトルは「奥村さんのお茄子」の中に使われた《棒がいっぽんあったとさ》という なつかしい絵描き歌からとられたもの。 わらべうた、替え歌、数え歌、などは全国で歌われているうちに、少しずつ歌詞が変容するもので、 この《棒がいっぽんあったと…

高野文子『棒がいっぽん』(3)

おつぎは「病気になったトモコさん」 病気入院した女性トモコさんの、病室での昼と夜。 トモコさんは姿をみせない。トモコさんは病室や患者、看護師、屋外風景、窓辺に飛来したハト、 風で運ばれていったオブラート、夜景、そうした画像すべてを見ている視線…

高野文子『棒がいっぽん』(2)

高野的「小世界」の特徴が顕著にうかがえる「バスで四時に」をみよう。 マキコさんは4時のバスにのる。 叔父さんのお膳立てで、お見合いをした相手の家にお招きにあずかったのだ。 叔父さんがあいにく遅れるため、彼女は胸をどきどきさせながら、ひとりでバ…

高野文子『棒がいっぽん』

高野文子さんの『棒がいっぽん』についても取りあげることにしよう。 2007年10月彼女の代表作『黄色い本』を読んだ直後に、この本を買ってきて読んだのだったが、 その時には『黄色い本』の印象が強く残っていて、期待ハズレというか、拍子抜けしてし…

高野文子『おともだち』(3)

高野文子さんの作品「春ノ波止場デウマレタ鳥ハ」を熟読玩味しているワケだが、 タイトルの「鳥」は、もちろん「青い鳥」のことになる。 わくわく亭も高校生の頃岩波文庫でメーテルリンクの「青い鳥」は読んだものだ。 童話ではあるが、道徳の教本のような内…

高野文子『おともだち』(2)

「春ノ波止場デウマレタ鳥ハ」は自意識過剰な「乙女」の頃の少女たちが、 それゆえにガラスのように壊れやすく繊細なこころで、真・善・美を少女どうしの 友情のなかに求めようとする、うるわしい季節のものがたり、なのである。 吉屋信子の『花物語』の中に…

高野文子『おともだち』(1)

本の装幀はマンが本というより童話本を思わせる。 すみずみにまでレトロな雰囲気を纏わせた造本、装幀なのである。 それは大正ロマンというか大正モダニズムを感じさせたブックデザインである。 なにしろ手の込んだ本で、本好きの嗜好を満たしてくれる『おと…

「絶対安全剃刀」と「ラッキー嬢ちゃん」

高野文子さんの本を2冊手に入れた。 『絶対安全剃刀』と『ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事』とである。 高野さんの『黄色い本』について書いたのは07年の10月で、 (http://blogs.yahoo.co.jp/morioka_hisamoto/23690740.html) その時点でわくわく亭…

『黄色い本』高野文子

わくわく亭は文芸書は人並みに読んできましたが、マンガの読書量は、自慢できるほど多くはないのです。 ですが、手塚治虫文化賞のマンガ大賞をもらった作品は見逃さないようにして読んでいます。 高野文子さんの『黄色い本――ジャック・チボーという名の友人…