江戸小咄ベスト100

比丘尼(びくに)

木室卯雲(きむろぼううん)の『鹿の子餅』から、わくわく亭が好きな小咄を3つやりましょう。 先の「あまらぬ」の貧乏浪人の続編のような話です。なんでも空威張りするサムライの見栄っ張りを 笑いのタネにしたものです。 《大石》(たいせき) 裏店(うら…

卯雲(ぼううん)先生

木室卯雲(きむろぼううん)の《菜売》を先に紹介しましたが、今回は、この卯雲先生の話を読んで もらいましょう。 まず上掲の肖像画ですが、晩年のお姿のようです。髪は白く、寒いとみえて首巻に綿入れを着込んでおいでになる。そばには刀が見えています。 …

間男(まおとこ)

不倫は現代でも絶えることはないけれど、命懸けでやっている不倫は少ないだろう。 江戸時代にも不倫はありましたが、それは命懸けだったのですよ。とくに結婚している女性の不倫は 「姦通罪」という罪に問われたもので、死罪という重い刑罰を科せられた。 亭…

きのふはけふの物語

8月8日が立秋だったから、今は「秋」なんだろうが、なんともすさまじい猛暑がつづく。 わくわく亭は家の外に出ないでいます。それでも、玄関にある温度計は気温34度を表示しています。 屋外は36度とか37度でしょう。これでは外を歩くのは、熱中症に…

江戸小咄ベスト100

山手馬鹿人の名前で大田南畝が書いた江戸小咄(こばなし)を紹介していましたが、タイトルを変更します。 彼以外のたくさんの作者による、もっと笑えるもの、もっと艶なるもの、うなるほどに才気溢れる ものを選んで紹介したくなりました。 わくわく亭はかね…

艶笑小咄(続)

江戸安永2年に発行された小咄本『今歳花時』(ことしはなし)から、いかにも庶民がこしらえたらしい艶笑小咄を2篇紹介しましょう。 一つ目は『寝ぼけ』という話。 世の中には、夜中寝惚けて、変な行動をするものがいます。トイレにいくつもりで起きて、ま…

艶笑(えんしょう)

山手馬鹿人は大田南畝が戯作(げさく)をしたときに使った作者名の一つです。 名前はふざけたものですが、身分は軽いとはいっても、そこはれっきとした二本差しのお武家 さんです。 江戸で生まれて、江戸に暮らした、幕臣のプライドというものがある。 小咄…

かはづ(蛙)

山手馬鹿人の筆名で大田南畝が書いた小咄本、『春笑一刻』から、こんどは廓(くるわ)風景の一篇を紹介しましょう。 これは、小粋なムードのある笑いなので、僕わくわく亭が好きなものの一つです。 タイトルの《かはづ》は旧かな遣いで、かわず(蛙)のこと…

変にけんそんする人

へんに謙遜(けんそん)する人っているよね。こっちは相手をほめてる訳でもないのに、なんでも自分の都合のいいように解釈して、いえ、なに、それほどでもないよ、なんて謙遜するタイプ。 『春笑一刻』(安永7年)から「肥満」という超短い小咄。なおついで…

碁の小咄

囲碁にまつわる山手馬鹿人の小咄を2つ、紹介しましょう。 1つ目は『春笑一刻』(安永7年出版)から。 《碁将棋》 「どうもひまで、身をもてあますが、なんぞよいなぐさみはあるまいか」 「それには、碁将棋がようござります」 「碁と将棋とは、ちがったも…

江戸の盗人たち

こんどは、大田南畝が、山手馬鹿人(やまてのばかひと)の名前で書いた小咄本『蝶夫婦』(安永6年出版)から、盗人(ぬすっと)にまつわる笑い話を3つ、読んでいただきましょう。 はじめに、「大誓文(だいせいもん)」という言葉の意味を知っておいてくだ…

『うぐひす笛』から

山手馬鹿人(やまてのばかひと)の戯作者名で、大田南畝が書いた江戸小咄(こばなし)の中から、第2回目は入門編として、短くて、分かりやすく、軽いものを3話紹介しましょう。 いずれも江戸天明年間に出版された『うぐひす笛』から。 《長竿》(ながさお…

山手馬鹿人の江戸小咄

江戸小咄(こばなし)については、どなたも大抵ご存知でしょう。 江戸時代、それも江戸後期につくられた、短い笑い話、落とし話の総称で、現代の落語のもとになっています。 この「わくわく亭雑記」の中でも、「大田南畝」コーナーで、大田南畝が山手馬鹿人…