小津安二郎の部屋

原節子の台詞「ずるいんです」

日本画「海路」作:柏谷明美 今朝の朝日新聞「be on Saturday」はまたしても尾道と「東京物語」特集だった。 この記事を読みながら、監督小津安二郎と尾道との出会いは、なんというしあわせだったろう、と 今更ながらに思う。 今となってみると、「東京物語…

小津が撰した「山中貞雄之碑」の追悼文

映画監督山中貞雄は1938(昭和13)年、中国の野戦病院で病没。 28歳10ヶ月という若さだった。 この写真はその1938年に戦地で撮影されたと思われる。 彼の死後3年経った1941(昭和16)年、彼を慕う映画人たちの手によって、菩提寺である…

山中貞雄と原節子

川喜多夫妻の東和商事映画部(のちの東和映画)について書くつもりが、横道にそれてしまった。 前回16歳のニューフェース原節子を使って『河内山宗俊』を撮った山中貞雄監督のことに触れた。 戦前の日本映画ファンであれば天才と呼ばれた山中貞雄が戦地の…

絵を画く小津安二郎(2)

『新嘉坡(シンガポール)好日』未完成のスケッチである。 小津安二郎さんが戦時中シンガポールのキャセイ・ホテル最上階(11階)の部屋で 無為の日々を送っている頃、部屋の窓から見える中国人街をスケッチしたものだそうで、 未完成のまま終戦後、帰国す…

絵を画く小津安二郎(1)

映画監督は絵コンテを画いたりするから、絵が上手い人も少なくない。黒澤明の絵コンテは、もっとも 有名な例だろう。 小津安二郎監督も上手い絵を画き残している。 黒沢監督のとは画風が異なる。俳句や短歌や詩を書いている小津さんだから、画風も文人風であ…

尾道へ小津監督がやってきた

映画『東京物語』(昭和28年制作)の撮影のために小津安二郎監督、俳優笠置衆、女優原節子、香川京子さんたちがやってきた。 尾道市内の浄土寺境内での撮影スナップです。 笠置衆さんの死んだ息子の嫁が原節子さんで、娘が香川京子さん。香川さんは原さん…

小津安二郎さん

この小津安二郎監督のポートレートは『水辺のモダン―江東・墨田の美術―』という美術展のカタログから貰ったものです。 東京都現代美術館が2001年6月中旬から8月中旬までの2ヶ月間開催した美術展で、もうひとつサブタイトルがあって、それは『濹東遊覧…

小津安二郎監督のやがてかなしき後ろ影(3)

都築政昭さんの本『小津安二郎日記』(講談社)から、僕が好きな小津さんの歌や詩を、ほんのちょっと紹介しようと書き始めたところが、(1)(2)でも終わらず、予定外に(3)にまで延びてしまいました。 同書から写真を2枚借用させていただきます。(2…

小津安二郎監督のやがてかなしき後ろ影(2)

小津監督と作家志賀直哉との親交は、彼が46歳(昭和24年)の頃からはじまったようです。 さらに、志賀直哉の紹介によって鎌倉在住の作家たち、里見弴、川端康成、大佛次郎、小林秀雄らとの交流へとひろがります。映画『宗方姉妹』は大佛の原作ですし、『…

小津安二郎監督のやがてかなしき後ろ影 (1)

小津安二郎さんといえば、いまや映画『東京物語』で世界的な名声をほしいままにする名匠監督です。 最近では,彼についての数々の評伝に加えて、日記、有名作家たちとの交友記なども出版されて、人気は衰えることを知りません。 尾道出身の僕わくわく亭としま…