マンガ、コミックス評

近藤聡乃(2)

2008年9月に出版された近藤聡乃さん2冊目の単行本である。 前回にも書いたことであるが、彼女の作品は「作者が見た夢や少女時代の記憶などをもとに 織り上げた幻想的な画像世界といえる作品」なのである。 ストーリーといえるほどのストーリはない。 …

近藤聡乃(こんどう あきの)

まだ2冊の単行本があるだけという、若いマンガ作家です。 1980年千葉県の生まれで、多摩美術大学グラフィックデザイン学科の卒業。 「ガロ」から独立して創立された青林工藝舎からデビューした、注目に作家である。 事実上廃刊となった「ガロ」に代わる…

青林工藝舎

青林工藝舎は「ガロ」の青林堂から独立した手塚能理子(1955年~)さんが1997年に 設立したマンガ出版社である。 青林堂は休眠状態であるし、「ガロ」は休刊したままで、廃刊にひとしい。 したがって、「ガロ」に寄稿していたマンガ家たちと「ガロ」…

『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦』

このアニメは傑作だという噂を耳にしていた。 このアニメに感動した映画監督山崎貴さんが実写映画をつくった。 それがいま上映中の『BALLAD 名もなき恋のうた』(山崎貴監督、草なぎ剛、新垣結衣ほか出演)だ。 きょうの午後テレビでたまたま、そのアニメ『…

『夕凪の街 桜の国』こうの史代

駅前書店の2階はコミックス売り場である。 昨日の散歩の途中で立ち寄って、モスバーガーでコーヒーを飲みながら読むマンガを なにか1冊買おうとして、この『夕凪の街 桜の国』を選んだ。 モスバーガーでは『週刊新潮』の「国盗り物語後始末」という民主党…

とり・みき(2)

とり・みきの傑作ギャグマンガ『遠くへいきたい』から作品をひとつ紹介。 とり・みき氏は日本語吹き替えの外国映画についても詳しい人で、 『吹替映画大辞典』(三一書房)という著書まであると、つい最近知りました。 わくわく亭が友人からもらった『音声制…

とり・みき

とり・みきはギャグマンガ作家です。 代表作は『遠くへいきたい』(1997 河出書房新社)でキマリでしょう。 何故面白いか、どこが面白いか、そんな説明は不要です。 黙って見ていれば、それで面白さはわかる。 作中には、言葉による会話も説明も一切ない…

辰巳ヨシヒロ

2009年度手塚治虫文化賞大賞を受賞したのは 辰巳ヨシヒロさんの自伝的なマンガ『劇画漂流』だった。 小学館や講談社、角川書店といったマンガの大手からの出版ではなくて、 青林工藝舎という地味な出版社から出ている。 上巻が422ページ、下巻が40…

山岸凉子

山岸凉子さんの『牧神の午後』と『日出処の天子』について初めてその作品名を 知ったのはCHARLIEさんのブログでだった。 CHARLIEさんをてっきり男子高校生だと思いこんで、その早熟で才能を感じさせるブログに コメントをしていたのだが、実は…

パノラマ島綺譚

2009年の手塚治虫文化賞が発表された。 「新生賞」は丸尾末広さんの『パノラマ島綺談』に与えられた。 原作は江戸川乱歩である。 大正ロマンの画家であった高畠華宵の画風を引き継ぐといわれる丸尾末広さんが 乱歩の夢想的な、怪奇小説を、いわゆる「耽…

「バガボンド」熊本へ罷る

八重洲ブックセンターの7階は美術、芸術、グラフィック、洋書の売り場である。 井上雄彦の名前がついた雑誌を見かけたから、すぐに買った。 「ぴあ」といったらチケット販売の会社じゃないか。そこが「井上雄彦ぴあ」という雑誌を出すとはね。 井上雄彦が東…

大島弓子(2)

『綿の国星』を読んだ。これは第一巻としてないから、もとはこれでお仕舞いの つもりだったとみえる。 人気が高いので続編をつぎつぎに描くことになったのだろう。 白泉社の第二巻から「ペルシャ」まで読んだ。 さあ、一言で感想をいえば、思春期の女の子の…

大島弓子

小泉今日子さん主演で映画化されて、ことし9月公開されました。 ことしの第12回手塚治虫文化賞で短編賞を受賞したときには、マンガ大賞の 「もやしもん」に目が行って、本屋で早速買ってきてここで論評したものでしたが、 「グーグーだって猫である」とは…

大友克洋(3)

大友の初めての自選作品集であった『ショート・ピース』のなかに、高校の美術部員たちの文化祭の様子を描いた作品があり、タイトルは英語で「School-boy on good time」という。 英語タイトルの作品が多いのも、大友の「若い」野心が透けて見える。 どうとい…

大友克洋(2)『ショート・ピース』

大友克洋が『童夢』でブレークする以前の、まだ未完成時代の作品集である。 彼自身が自選した9作品を、奇想天外社という小さな出版社から昭和54(1979)年に刊行したのが、この『ショート・ピース』である。その数年後、奇想天外社は倒産している。 …

大友克洋

まず、横着をしてWikipediaから大友克洋の人物説明を拝借する。 「大友 克洋(おおとも かつひろ、1954年4月14日 - )は、日本の漫画家、映画監督。宮城県登米郡迫町(現在の登米市迫町)出身。宮城県佐沼高等学校卒。 1973年『漫画アクション』にてデビュー…

北斗の拳

いまごろになって「北斗の拳」第一巻を読むのだから、なんだか拍子抜けした記事かもね。 わくわく亭の倅のガールフレンドM子さんが「読めばきっとハマるから」と貸してくれた本だ。 わくわく亭がマンガ評をブログに書いていると知って、彼女がケンシロウの…

井上雄彦

井上雄彦(たけひこ)は現代のヒーローになりつつある。 彼は41歳の人気マンガ家であるが、マンガ家以上のなにものかになりつつある。 それは井上雄彦の絵画展のすさまじい人気を聞くだけで想像がつく。 5月24日から7月6日まで上野の森美術館で催され…

『深夜食堂』

この表紙にひかれて買ったマンガで、作者の名前もはじめて知った。 安倍夜郎(あべ やろう)という名前。いかにも『深夜食堂』にふさわしい。 8月4日発行の『深夜食堂(2)』である。 わくわく亭は普段マンガ雑誌を買わないから、どんなマンガなのか知識…

もやしもん

手塚治虫文化賞のマンガ大賞を「もやしもん」が受賞した。 朝刊でそのニュースを読んだものだから、午後の散歩、雨が降っていて気温が下がり、あまり気が進まなかったのだが、大泉学園駅に近いマンガ古書店で受賞作をみつけてやろうかと、でかけた。 書店の…

NARUTO(2)

ブログ仲間の「よっこ」さんからお薦めがあって、「NARUTO」の4巻まで、この土曜日と日曜日とで読みました。 僕の記事「NARUTO」に寄せてくれました「よっこ」さんからの長いコメントは、このマンガをこれから読もうという人には、とても参考に…

NARUTO

「うずまきナルト」と聞いて、正月のおせち料理の常連である食紅で色をつけた渦巻きの蒲鉾しか思いつかない人は、まずこの記事には縁無き衆生です。 いや、なにを隠そうこのわくわく亭だって、そのお仲間みたいなものでした。ほんのすこし知っていたことは、…

東映アニメ・ギャラリー(5)

東映アニメ・ギャラリーの見学の記念として、いまや世界的な人気キャラになった 美少女戦士セーラームーンのフィギュアを「おまけ」にUPして、 終了といたします。 東映アニメーションギャラリのHPは下記のアドレスです。 http://www.toei-anim.co.jp/ta…

東映アニメ(4)ワンピース

マンガ原作者、「ワンピース」の場合は尾田栄一郎さんであるが、アニメ制作にはどの程度かかわるのだろうか、という質問がありました。 マンガはマンガで、アニメはアニメと別々の世界だから、原作者の出番は少ないはず。 アニメのTV版でも映画版でも、原…

東映アニメ(3)ワンピース

映画「ワンピース」のセル原画、絵コンテ、キャラクター設定書など、ファンであれば涎がたれるような お宝をバシバシ写真に撮ってきましたよ。 ただし、どれが「ワンピース」の第何作なんだか、わくわく亭にはチンプンカンプン、 ただずらずら並べるだけです…

東映アニメ・ギャラリー(2)

等身大の「ワンピース」アニメキャラクターのお出迎えでした。 フィギュアー 海賊少年ルフィとその仲間たち

東映アニメ・ギャラリー

これはマンガ評ではありません。 散歩の途中、わくわく亭から近い東映アニメ・ギャラリーに立ち寄ったところ、3月1日から全国で公開予定の新作アニメ『ワンピース、エピソード オブ チョッパー、冬に咲く奇跡の桜』を記念して「チョッパーとワンピースムー…

“ともだちとは何…!?”

ついに長編マンガ『20世紀少年』が『21世紀少年 下巻』として終わった。完結した。 ラッキー、わくわく亭は日曜日に、大泉学園の「ゆめりあ」にある書店をのぞいて、幸運にも入荷したばかりとみえる、この一冊を手に入れました。 いま奥付をみると、07…

「20世紀少年」余談

友人タキザワ氏からCD-Rをプレゼントされた。 彼は6000曲を超える所蔵曲の持ち主で、そこからの選曲と軽妙なトークを聞かせる、「タキザワ談話室」というDJライブを、定期的の受けもつ音楽通であります。 その彼が、浦沢直樹さんの「20世紀少年…

21世紀少年

浦沢直樹の『21世紀少年(上)』を買った。 大泉学園の駅前にあるモスバーガー店で、ブレンドコーヒー(これ、190円で、うまい。マックとは大違い)飲みながら、あっというまの一気読み。 『20世紀少年』最終章のタイトルを「21世紀少年」に更める…