近藤聡乃(2)

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2008年9月に出版された近藤聡乃さん2冊目の単行本である。

前回にも書いたことであるが、彼女の作品は「作者が見た夢や少女時代の記憶などをもとに

織り上げた幻想的な画像世界といえる作品」なのである。

ストーリーといえるほどのストーリはない。

性に目覚める頃の少女が、一瞬の夢に見たものと、さらに幼かった日の体験の

記憶とを、たいせつに、(あるいは執拗に)しまい込んでいた心のひきだしから

ひきだしながらペンで画像に描き上げる。

そうした夢だの、記憶だの、妄想だのを、つかまえて、貼り絵にしたり、箱庭にしたり、

組紐、キルト、モザイク、江戸切子などの技法でページを構成してゆく、ユニークな

幻想世界。

現実から、大人になりきらない少女世界への回帰をくりかえしているのが彼女の作品である。

初潮のおどろき、少女の肉体のぬくもり、ためらい、はじらい、他人嫌い、猜疑心、

虫などの小動物への好奇心、自己愛、自己満足……そして蝶へとサナギから変身する

予感、予兆といったさまざまな少女感覚の画像化が、近藤聡乃さんの世界である。

「真間川の豆腐」から2枚紹介する。

ダンスする少女の絵は高野文子さんの「おともだち」を思い出す。

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