大島弓子
小泉今日子さん主演で映画化されて、ことし9月公開されました。
「もやしもん」に目が行って、本屋で早速買ってきてここで論評したものでしたが、
「グーグーだって猫である」とはすれ違っていました。
を書いているのを読んで、これは彼女が取り上げている代表作の「綿の国星」
「F式蘭丸」「10月はふたつある」「さようなら女達」「秋日子かく語りき」のうち、
どれか読まなくては、と昨日は雨模様の中、マンガ専門書店と古書店をいくつか回ってみた。
まず、「グーグー」は4巻まで出ていたから、どんなものかと1巻を買ってみた。
飼い猫のグーグー、途中からやってきたビーと暮らす作家本人の日常を綴った
エッセイ風なマンガ作品です。一話が4ページのショートストーリーなので、
「短編賞」の授賞対象となったのだ。猫好きにはたまらない話ばかり。
家族は猫だけだから、猫は人間とおなじ次元で、感情、性癖、愛情の持ち主として描かれる。
だから、「家族愛ものがたり」です。
浅田厚美さんは小学生から大学卒業までの期間、リアルタイムに愛読して、
多大な影響をうけた大島さんの少女マンガを論じていて、この「グーグー」にはそっけない。
もはや別系列の作品として、引き出しが違っているのだろう。
大島弓子さんは1947年生まれで、ことし61歳。
もう人間になれる日を夢見ているチビ猫を主人公にした『綿の国星』のような少女マンガは
描かない年齢だろう。
しかし、作家のよしもとばななさんを初めとして、大島さんの少女マンガに影響をうけて
「自らの精神の血と肉を作った」とする芸術家は少なくないのだ、と浅田さんはいう。
浅田さん自身然り。
となれば、どうでも『綿の国星』をさがして、読まねばなりません。
ラッキー!
値段は150~200円。
『グーグーだって猫である』(¥1100+税)一冊よりお安い。
店主のおばさんが云った。
「なつかしいわね。大島さんの本なんか、ほとんど出ませんよ」
いよいよ、ラッキー!であります。
11月29日には大阪で同人誌の合評会があって、浅田さんとも会えるでしょうが、
これで彼女の『私の大島弓子論』について論じる資格ができそうです。