大島弓子

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小泉今日子さん主演で映画化されて、ことし9月公開されました。

ことしの第12回手塚治虫文化賞で短編賞を受賞したときには、マンガ大賞

もやしもん」に目が行って、本屋で早速買ってきてここで論評したものでしたが、

グーグーだって猫である」とはすれ違っていました。



ところが、同人誌『別冊 関学文芸』37号に浅田厚美さんが「私の大島弓子論」

を書いているのを読んで、これは彼女が取り上げている代表作の「綿の国星

「F式蘭丸」「10月はふたつある」「さようなら女達」「秋日子かく語りき」のうち、

どれか読まなくては、と昨日は雨模様の中、マンガ専門書店と古書店をいくつか回ってみた。

まず、「グーグー」は4巻まで出ていたから、どんなものかと1巻を買ってみた。



飼い猫のグーグー、途中からやってきたビーと暮らす作家本人の日常を綴った

エッセイ風なマンガ作品です。一話が4ページのショートストーリーなので、

「短編賞」の授賞対象となったのだ。猫好きにはたまらない話ばかり。

家族は猫だけだから、猫は人間とおなじ次元で、感情、性癖、愛情の持ち主として描かれる。

だから、「家族愛ものがたり」です。



浅田厚美さんは小学生から大学卒業までの期間、リアルタイムに愛読して、

多大な影響をうけた大島さんの少女マンガを論じていて、この「グーグー」にはそっけない。

もはや別系列の作品として、引き出しが違っているのだろう。



大島弓子さんは1947年生まれで、ことし61歳。

もう人間になれる日を夢見ているチビ猫を主人公にした『綿の国星』のような少女マンガは

描かない年齢だろう。


しかし、作家のよしもとばななさんを初めとして、大島さんの少女マンガに影響をうけて

「自らの精神の血と肉を作った」とする芸術家は少なくないのだ、と浅田さんはいう。

浅田さん自身然り。

となれば、どうでも『綿の国星』をさがして、読まねばなりません。


ラッキー!

大泉学園のマンガ専門古書店白泉社刊の『綿の国星』1~4巻を手に入れた。

値段は150~200円。

グーグーだって猫である』(¥1100+税)一冊よりお安い。

店主のおばさんが云った。

「なつかしいわね。大島さんの本なんか、ほとんど出ませんよ」

いよいよ、ラッキー!であります。



11月29日には大阪で同人誌の合評会があって、浅田さんとも会えるでしょうが、

これで彼女の『私の大島弓子論』について論じる資格ができそうです。