とり・みき

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代表作は『遠くへいきたい』(1997 河出書房新社)でキマリでしょう。

何故面白いか、どこが面白いか、そんな説明は不要です。

黙って見ていれば、それで面白さはわかる。

作中には、言葉による会話も説明も一切ない。

一作は9コマの言葉のない絵だけで構成される。

だから、日本語を知らない外国人でも、ページをめくれば、笑うことになる。

はじめて『遠くへいきたい』を読んだ(見た)とき、これなら世界のどこへ

持って行こうとも、翻訳が要らないのだから、すぐに読者が獲得できるだろうと思った。

わくわく亭が思いつくくらいだから、とっくの昔から、それは実証されているらしい。

NETで検索すると、海外でさかんに販売されているようだ。

表紙とカバーだけ英語にすれば売ることはできるのだから。

海外のファンも多いことだろう。

参考までに、どれか好きな作品を紹介してみたいのだが、著作権の問題があるから、

2篇だけUPさせてもらうとしよう。

面白いと感じたら、NETで買って読む(見る?)べし。

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『時事ネタ』は文春文庫で買えます。

こちらは見開きの2ページで1作となっています。

1996年から最近の内外における時事ネタから拾って、ギャグマンガにしあげてあり、

こちらは会話も説明もあるから、海外では売りにくいしろもの。

ストリーマンガに食傷ぎみの漫画読者には、マンガの毒が心地よく味わえます。

定価:581円+税

           
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とり・みきは1958年2月生まれだから、今年51歳。

熊本出身で、明治大学英文学科中退ということ。

ギャグ漫画作家で評論にも活躍しているいしかわじゅん作『漫画の時間』(1995年刊)を

開いてみると、『遠くへいきたい』についての批評というか、感想文がみつかったので、

先輩作家としての彼の「とり・みき」観を紹介することにしよう。

いしかわじゅんという人の「正直」さが現れていて、読んで気持ちのいい文章です。

とり・みきの『遠くへいきたい』を読んだ。

感動した。(小泉純一郎元首相みたいなフレーズですな←わくわく亭)

そうか、とり・みきは、こんなところまできていたのか、と驚いたのだ。

もともとぼくは、とり・みきをずっと評価してはいた。ギャグ漫画界には人材が少ない。

ギャグを描くこと、そしてそれを長年続けることは、大変にむつかしい。

多少いた同業者のほとんどは、いつしか、才能が枯渇したりノイローゼになったりして、

消えたり、一時リタイアを余儀なくされたりしている。とり・みきは数少ない貴重な同志であるし、

才能もある。(略)

とり・みきは、偉い。努力家だ。(略)正直いって、ぼくは悔しかった。

ぼくは、その上、恥ずかしかった。ぼくは、安心しているばかりで、努力していなかったと思う。

面白いものを描こうと思う。ぼくは、今年からまた頑張りはじめる。

好漢いしかわじゅんに「恥ずかしかった。また頑張りはじめる」と反省をうながしただけの

充実した内容のあるギャグ漫画が、世界的な傑作『遠くへいきたい』です。