とり・みき
何故面白いか、どこが面白いか、そんな説明は不要です。
黙って見ていれば、それで面白さはわかる。
作中には、言葉による会話も説明も一切ない。
一作は9コマの言葉のない絵だけで構成される。
だから、日本語を知らない外国人でも、ページをめくれば、笑うことになる。
はじめて『遠くへいきたい』を読んだ(見た)とき、これなら世界のどこへ
持って行こうとも、翻訳が要らないのだから、すぐに読者が獲得できるだろうと思った。
わくわく亭が思いつくくらいだから、とっくの昔から、それは実証されているらしい。
NETで検索すると、海外でさかんに販売されているようだ。
表紙とカバーだけ英語にすれば売ることはできるのだから。
海外のファンも多いことだろう。
参考までに、どれか好きな作品を紹介してみたいのだが、著作権の問題があるから、
2篇だけUPさせてもらうとしよう。
面白いと感じたら、NETで買って読む(見る?)べし。
『時事ネタ』は文春文庫で買えます。
こちらは見開きの2ページで1作となっています。
1996年から最近の内外における時事ネタから拾って、ギャグマンガにしあげてあり、
こちらは会話も説明もあるから、海外では売りにくいしろもの。
ストリーマンガに食傷ぎみの漫画読者には、マンガの毒が心地よく味わえます。
定価:581円+税
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とり・みきは1958年2月生まれだから、今年51歳。
熊本出身で、明治大学英文学科中退ということ。
ギャグ漫画作家で評論にも活躍しているいしかわじゅん作『漫画の時間』(1995年刊)を
開いてみると、『遠くへいきたい』についての批評というか、感想文がみつかったので、
先輩作家としての彼の「とり・みき」観を紹介することにしよう。
いしかわじゅんという人の「正直」さが現れていて、読んで気持ちのいい文章です。
とり・みきの『遠くへいきたい』を読んだ。 感動した。(小泉純一郎元首相みたいなフレーズですな←わくわく亭) そうか、とり・みきは、こんなところまできていたのか、と驚いたのだ。 もともとぼくは、とり・みきをずっと評価してはいた。ギャグ漫画界には人材が少ない。 ギャグを描くこと、そしてそれを長年続けることは、大変にむつかしい。 多少いた同業者のほとんどは、いつしか、才能が枯渇したりノイローゼになったりして、 消えたり、一時リタイアを余儀なくされたりしている。とり・みきは数少ない貴重な同志であるし、 才能もある。(略) とり・みきは、偉い。努力家だ。(略)正直いって、ぼくは悔しかった。 ぼくは、その上、恥ずかしかった。ぼくは、安心しているばかりで、努力していなかったと思う。 面白いものを描こうと思う。ぼくは、今年からまた頑張りはじめる。
好漢いしかわじゅんに「恥ずかしかった。また頑張りはじめる」と反省をうながしただけの
充実した内容のあるギャグ漫画が、世界的な傑作『遠くへいきたい』です。