大島弓子(2)
『綿の国星』を読んだ。これは第一巻としてないから、もとはこれでお仕舞いの
つもりだったとみえる。
人気が高いので続編をつぎつぎに描くことになったのだろう。
さあ、一言で感想をいえば、思春期の女の子の内面をチビ猫の姿を借りて描いた、
少女マンガの傑作ということか。
小中学生から高校生までの女の子達を、夢中にさせたのは、彼女たちの
〈夢見るような〉心的世界が共感的に描かれていたからだろう。
白泉社の文庫版(4)も入手してきたが、そのキャッチコピーを引用しよう。
〈昭和53年より「ララ」に掲載された「綿の国星」は、曇りない瞳で人間社会を
見つめる主人公チビ猫の心の成長を独得の豊かな感覚で描いた珠玉の作品である。
発表されるや漫画界に大きな衝撃を与えたばかりでなく、大人が少女マンガを読み、
論じるきっかけとなる記念碑的作品となる〉
さいごの「椿の木の下で」までの発表年譜を浅田厚美さんのこしらえた年表から
抜粋してみよう。
1980 綿の国星5~9
1981 綿の国星10~11
1982 綿の国星12~15
1983 綿の国星16~17
1984 綿の国星18~19
1985 綿の国星20ギャザー
大島弓子さんの31歳から40歳まで、9年間をついやして描かれた作品だった。