『深夜食堂』
この表紙にひかれて買ったマンガで、作者の名前もはじめて知った。
8月4日発行の『深夜食堂(2)』である。
わくわく亭は普段マンガ雑誌を買わないから、どんなマンガなのか知識がないので、
ちょっとネットでしらべてみた。
2006年10月に、「増刊ビッグコミック」登場したのが最初らしい。「増刊」から本誌の「ビッグコ
ミックオリジナル」に掲載されるようになったのが2007年8月とか。
2007年12月に単行本『深夜食堂(1)』が刊行され、こんどのがその(2)となる。
ついでに作家についても調べてみた。
なかなか風変わりな経歴である。
中村高校を卒業している。
中村高校といえば1977年に選抜高校野球で、たった12人のチームで甲子園へ出場、長身の
山沖投手を擁して準決勝まで進出して、全国の高校野球ファンを熱狂させた高校である。
をあげた。
安倍さんは1978年に高校入学している勘定だから、当時の野球部の人気、フィーバーぶりはすごかっ
ただろうが、彼は野球部とは無縁だったらしく、
「マンガ研究部」をつくって初代部長をつとめたらしい。
社会人になるとCM制作のディレクターをしながら、マンガは描いていたという。
彼が40歳で描いたマンガが「ビッグコミック」の新人漫画賞を受賞する。
その受賞をきっかけに、彼はCM制作会社を辞め、マンガ創作活動に入った。
最初「山本耳かき店」というちょっと色っぽい大人のマンガを、何ヶ月かに一度というスローペース
で描いていた。
それから「深夜食堂」が2006年にはじまる。
編集から「食」をテーマにしたものを描いてくれという要望があって、このマンガになる。
「食」をテーマにしたといっても「美味しんぼ」などのグルメマンガではない。
庶民が日常に食べている食物を絵にしながら、ささやかな庶民の「食」のしあわせを、
新宿に行き交う深夜族の人情話として描いているのが『深夜食堂』である。
高知県中村高校のマン研を出て、
40歳を過ぎてマンガ家になった安部夜郎さんが、
45歳になって第一冊目のマンガ発刊された。それが『深夜食堂』だったのである。
その食堂は、東京の新宿にある。
深夜の0時から、朝の7時ごろまで営業している。
メニューはなく、客が食べたがるものを、器用に調理して出してくれる。
その料理名が、短い小話のタイトルになっているのである。
深夜の新宿で「食堂」にくる客というのだから、客筋もクセがある。
ホームドラマの主人公たちは一人もいない。
庶民の喜怒哀楽といえば、古めかしいが、そのちょっとした古めかしさが、癒しにもなっている。
2巻のオビのキャッチを引用すれば、
《心の小腹をやさしく癒やす。
繁華街の片隅で、深夜しかやってない、
小さなめしや。
けど、そこに集う人がいる。
そこでしか生まれない話がある。》
めしやのオヤジが、左眼に大きなキズをもつご面体とくるから、なにかワケありではないか。
一話ごとに、丁寧に描かれて、しみじみとした人情の味がする『深夜食堂』なのである。
作風を紹介するために、カラーページを1ページUPしよう。