詩 「憂きことを」

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尾道在住の詩人、山口美沙子さんから、手紙に添えて、この美しい詩をいただいた。

桜の花と、新緑のイラストを配した、こころのこもった一葉である。

写真が鮮明でないのが申し訳ない。

山口さんにことわりなく、紹介させてもらうことにした。



彼女は最近、尾道千光寺公園でお花見をした。むかし勤めていた会社のOB会によるお花見の

会だった。

そのすこし前に、わくわく亭から彼女のもとへ同人誌が贈られてきて、添えられていた手紙に

この詩の冒頭にある「 」にくくられた言葉があった。

その言葉と花見の印象から、この詩「憂きことを」が書かれたのだそうだ。

詩は彼女の友人が発行している詩誌に寄稿されたらしい。

なにげないわくわく亭の手紙の一節が、幸運にも美しい詩の冒頭を飾ることとなった。

この幸運をブログで披露して、よろこばぬ法はない、とUPするしだい。

                                         憂きことを

                    作:山口美沙子

 「せめて花時にはうきうきと

 浮かれ歩いて憂きことを

 忘れていたいものです」


 遠い町からの 季節のメッツセージに


 満開の桜の下に集った十数人

 久しぶりの年月に憂きこと

 互いの熱気に煽られ あおられて

 花ふぶき

 折しもの風に頭上の桜の

 花吹雪 入り混じり

 憂きこと達 ドッと笑い 又笑いころげ

 時の経つのも忘れ


 花色いっ色

 春がすむ海を眼下に 笑いさざめきながら

 歩いて 歩いて

 遠くに去っていった


 あとに残った桜の木

 散り敷いたはなびらの中に立つ 憂きことの

 残照

 どこからか 花びらはらはらと舞いー

 
 日はめぐり

 又 めぐりくる 青葉

 青葉‥‥‥


 薫る風が 発信して来るだろうー

 憂きことを

 木々にあずけ

 緑陰を歩いてみませんかー


                                             ※冒頭「 」内 森岡久元氏