ふたたび、西橋さんの、女性
歌人らしい、女性の状景の歌を読んでみよう。
火星人が脱皮するならこんなものか夜ふかぶかとパンストを脱ぐ
爪先でサンダル揺らしてポンパドゥール夫人を気取るひとときもある
それで誰を愛してゐたのと遠き日のわれに問はれつ木にもたれをれば
しまひ湯の浅きに身体のしづむ時思はぬ方より出づるちちふさ
そして、さいごに、母親として、子を見るやわらかな視線の歌を2首。
蚊を追へば吾子三人もついて出ててんでに手など叩いて踊る
鳥となって生きてゐるかもしれぬ子にケーキを置きぬ庭の餌台
わくわく亭が真に才能ある
歌人だと思っている、西橋美保さんの本格的な活躍は、いよいよこれからで
しょう。