2009-01-01から1年間の記事一覧

中国新聞『恋ヶ窪』書評

11月15日(日)の中国新聞に『恋ヶ窪』の書評が掲載された。 中国新聞は広島市に本社を置く、広島県の地方紙であるが、作者が 尾道の出身であることから、たびたび取材して記事にしていただいている。 執筆者は文化部のウメハラ記者で、なんとも味わい深…

丸尾末広『少女椿』と『丸尾地獄』

この2冊をAMAZON経由で買った。 『少女椿』は青林工藝舎の改訂版。新刊で1300円だった。発行は2003年10月初版第一刷。 『丸尾地獄』はネットでさがしたが、もう新刊は入手できないとわかり、中古で買ったのだが、 定価1300円が、中古で…

丸尾末広『芋虫』

丸尾末広という作家の本は『パノラマ島綺譚』を読んだのがはじめです。 「ガロ」系の奇才だという評判は聞いていたものの、手塚治虫文化賞「新生賞」受賞と なるまで読むきっかけがなかったのです。 『パノラマ島綺譚』については6月7日の記事に書きました…

それでも日本人は「戦争」を選んだ

20世紀は戦争の世紀だったといわれる。 たくさんの戦争、紛争の中には、二度の世界大戦がふくまれている。 そのどちらにも日本は参戦し、戦争当事国となっている。 太平洋戦争の終戦から64年が経ったのだが、いまだに多くの日本人は、なぜあれほどに 国…

森繁久彌さんと成島柳北のこと

森繁久彌さんの「三等重役」時代からのファンとしましては、 彼が生きていると思うだけで、世界がほんわかと暖かく感じられていました。 亡くなられて、この世がすこし寒くなったように思えます。 佐野眞一さんのノンフィクション『甘粕正彦 乱心の曠野』を…

ジュサブロー絵はがき

きのう人形町の人形市をひやかしたときに、辻村ジュサブロー館の出店で、 絵はがきを一組買いました。 「太夫」と題した4枚組で400円。 2体の太夫人形を半身像と全身像の、あわせて4枚に撮影したもの。 2体はよく似た顔立ちなのだが、顔も、衣装もよ…

からくり時計が落成

人形町に2基のからくり時計がおめみえした。 1時間ごとにからくり仕掛けが楽しめる。 1基は「木遣り」が流れて、はしご乗り、纏(まとい)持ちなど、江戸の町火消しの 人形が江戸下町情緒たっぷりに妙技を披露してくれる。 もう1基は人形町にちなんだ落…

人形町に人形市が立つ

日本橋人形町は江戸時代から人形とは縁もゆかりもあった町です。 江戸時代、堺町と葺屋町が現在の人形町三丁目にあり、歌舞伎の中村座と市村座があった。 また、薩摩浄瑠璃(薩摩座)や人形芝居(結城座)も行われていた。 薩摩座の人形浄瑠璃が後の文楽とな…

『恋ヶ窪』配本書店リスト

新刊書『恋ヶ窪』の配本先書店リストが来ました。 大手出版社からの大部数出版ではありませんから、配本はどうしても大型書店に 限られてしまいます。 以下がそのリストです。 お近くの書店がありましたなら、文芸書コーナーをごらんになったみてください。 …

キリマンジャロの雪

《キリマンジャロは、高さ19710フィートの、雪におおわれた山で、 アフリカ第一の高峰だといわれる。 その西の頂はマサイ語で“神の家”と呼ばれ、その西の山頂のすぐそばには、 ひからびて凍りついた一頭の豹の屍(しかばね)が横たわっている。 そんな…

鞆の浦景観保存裁判のゆくえ

尾道のお隣の福山市の南にあるのが鞆の浦です。 ここの歴史的な景観保存に関して裁判が行われています。 世界遺産の登録申請までしようという鞆の町であるが、住民からは車を使う現代生活にとって不便な 狭い道路などの改善の要求があることは事実でしょうが…

煙が目にしみる

このタイトルで思い出すのは、アメリカの人気グループ、ザ・プラターズのヒット曲 「Smoke Gets In Your Eyes」(煙が目にしみる)です。 おなじタイトルの劇を昨日見てきました。 真夏座第117回公演でした。 作は堤泰之さんで、いくつかの劇団が上演して…

「三余」と「三上」

読書週間である。 朝日新聞の「天声人語」が博識なところを見せてくれた。 中国に「三余」と「三上」という、どちらも読書に関係する言葉があると教えてくれた。 三余(さんよ)とは、読書に適した3つの余暇のこと。 冬・夜・雨の日、の3つであると。 なる…

中川清さん

中川清さんは落語の桂米朝さんの本名です。 米朝さんの文化勲章受賞が発表になりましたね。 人間国宝である米朝さんが、わくわく亭の文学仲間だという記事を書くつもり ではありません。 米朝さんの実弟である中川敏さんが、「姫路文学」の同人仲間で、お顔…

『恋ヶ窪』刊行

新著『恋ヶ窪』が刊行のはこびとなりました。 書店への配本は来週中くらいになるのでしょう。 Amazon,楽天ブックス、セブン・アンド・ワイなどのネット書店での 取り扱いは10月末から11月はじめになるでしょう。 発売のお知らせは、配本が開始と…

満鉄ポスター展・作者不詳

「満鉄ポスター展」から作者不詳の2点を紹介する。 「朝鮮へ満州へ」 いまならば、お正月はハワイへ、GWは香港へ、と航空会社が宣伝するところであるが、 戦前の海外旅行といえば、韓半島から満州への船旅を宣伝したものである。 当時の航路は、神戸港ー…

満鉄ポスター展・真山孝治

「満鉄ポスター展」に出品された16点の中に、真山孝治の「民族衣装の女性」がある。 真山孝治(1882~1981)岩手県室根生まれの洋画家である。 明治15年の生まれであるから、伊藤順三より8年の先輩である。 1897年東京美術学校日本画科入学…

伊藤順三(3)

「満鉄ポスター展」から伊藤順三の作品を紹介している。 3点を合わせて展示する。 「高脚踊り」 「仮面踊り」 「満州上流夫人」 伊藤順三は明治23年(1890)に生まれ、昭和14年(1939)に49歳で没している。 上野にあった「小河屋」という呉…

伊藤順三(2)

「満鉄ポスター展」から伊藤順三の作品を紹介する。 1930年制作の「玉の頭飾りの女性横顔」。 これもまた鉄道ポスターの収集家中村俊一郎さんの所蔵である。 (中村さんのコレクションを紹介するブログがあるから、鉄道ファンの方には興味があるだろう。…

満鉄ポスター展・伊藤順三

南満州鉄道(満鉄)の元社員たちでつくる「満鉄会」が開催する「満鉄ポスター展」。 一般公開は23日の午前11時から正午までの、わずか一時間というから、 会場の港区高輪ホテルパシフィックまで行くことはできない。 同会のHPから伊藤順三、真山孝治ら…

高血圧

わくわく亭は高血圧症であると診断された。 10月4日の日曜日、午後の2時頃テレビを見ていて、ふとトイレに立つと、目眩がした。 おや、血圧が下がったのかな、と血圧を測ってみた。 血圧計はいつも手近にある。 下がっているのではなくて、180-11…

「発電ジョカ」第15回公演

今年の公演は、いまや日本の小劇場活動のメッカとなった「下北沢」でした。 下北沢には親しくねがっている山田珠真子さんがリーダーになっている劇団「東演」がある。 ブログでは「書庫」までこしらえた岡崎京子さんが生まれ育った街が下北沢である。 「発電…

狐者異(こわい)

狐者異と書いて「こわい」と読ませる。 人間の高慢強情のことだという。 生きているうちは法を無視して人のものを取り食らい、死んだ後は 妄念執着の思いを引いて、さまざまな形になって世の妨げをなす、という。 要するに、死んだ人間の妄念執念が形となっ…

『フロム・ヘル』

10月8日の新聞に「みすず書房がコミック」という見出しで 「切り裂きジャック題材『フロム・ヘル』」という記事があった。 「切り裂きジャック」事件のマニアであるわくわく亭としては見逃せない本である。 10月10日発売とあるから、昨日amazonに注文…

散歩

近くのATMまで行く道すがら、秋晴れに誘われて、回り道をする。 農園のフェンスには、まだたくさんの朝顔の花が咲いている。 到る所にキンモクセイの香がする。 3頭も愛犬がいたころに、よく立ち寄っていた小公園。 人気のない公園で、秋の陽を浴びてい…

ぬれ縁

わくわく亭の住まいも、築後30年に近づいています。 あちこちと傷みがみつかって、このところ大工さんに手入れをたのんでいます。 きのう作り替えたばかりの、ぬれ縁です。 マツ材の白木。 塗装屋さんからは、白木のままにするより、長持ちさせるには油を…

祭りの夜店

大泉学園駅からほど近い北野神社の祭礼。 わくわく亭は家族で夜店見物をしてきました。 子供たちにクジを引かせて、景品をあてさせる露天は、いかがわしいものほど 人だかりしています。 こちらは射的。一回500円はかなり高い料金。 打ち落とした景品は5…

近藤聡乃(2)

2008年9月に出版された近藤聡乃さん2冊目の単行本である。 前回にも書いたことであるが、彼女の作品は「作者が見た夢や少女時代の記憶などをもとに 織り上げた幻想的な画像世界といえる作品」なのである。 ストーリーといえるほどのストーリはない。 …

野宿火(のじゅくび)

きつね火にもあらず、 草原火にてもなく、 春は桜がり、秋は紅葉がりせしあとに、 火もえあがり、 人のおほくさわぎうた唱ふ声のするは、野宿の火といふものならん。 なかなかに情緒のある竹原春泉の文章なので、引用した。 田舎道、街道、山の中などどこに…

寝ぶとり

この図を『百物語』ではなくて、浮世絵の一枚だといわれたならば、「女相撲取りの昼寝」 でもあろうかと思っただろう。 「寝肥」(ねぶとり)という女の病気であると絵師は云っている。 たしかに、アメリカなどに、身動きできないほどに体重がふえてしまい、…