丸尾末広『少女椿』と『丸尾地獄』
この2冊をAMAZON経由で買った。
『丸尾地獄』はネットでさがしたが、もう新刊は入手できないとわかり、中古で買ったのだが、
定価1300円が、中古で2700円で買うことになった。(2700~3100円で出ている)
『丸尾地獄』は青林堂から1988年8月に初版が出た。2001年10月に新装版として
初版が出て、わくわく亭が入手したのは、この新装版である。
8年たって、2倍以上の値段にジャンプしている。
それだけ丸尾末広の本の需要が強いということだ。
『丸尾地獄』は短編集であるが、この中に「哀切秘話 少女椿」がある。
これが、のちに発展して、長編『少女椿』になった。
「花を召しませランララン」と椿の花を街角で売っている花売り娘だった「みどり」が
母が病死して、身寄りがなくなって、だまされて見世物一座に誘い込まれるいきさつを
別の短編「腐ッタ夜」は『芋虫』の前身といえる作品。
『芋虫』における夫婦の代わりに、父と娘が設定されている。まことに凄惨でグロテスクな
作品。
ネットでは『丸尾地獄』の宣伝をしている文句が、ふるっている。
《丸尾作品にとことんはまりたい人に『丸尾地獄』はおすすめですが、そうでない人には
おすすめできない本です》
これが親切なメッセージだったと、読んでみてよく納得できた。
かなりコアな丸尾ファンでなければ『丸尾地獄』を愛読はできないだろう。
その点、『少女椿』は面白く読めた。ロマンティシズムがあるからである。
作品の完成度から言って、丸尾末広の最高作はやはり『パノラマ島綺譚』ではないか。