丸尾末広『少女椿』と『丸尾地獄』

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この2冊をAMAZON経由で買った。

少女椿』は青林工藝舎の改訂版。新刊で1300円だった。発行は2003年10月初版第一刷。

『丸尾地獄』はネットでさがしたが、もう新刊は入手できないとわかり、中古で買ったのだが、

定価1300円が、中古で2700円で買うことになった。(2700~3100円で出ている)

『丸尾地獄』は青林堂から1988年8月に初版が出た。2001年10月に新装版として

初版が出て、わくわく亭が入手したのは、この新装版である。

8年たって、2倍以上の値段にジャンプしている。

それだけ丸尾末広の本の需要が強いということだ。


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『丸尾地獄』は短編集であるが、この中に「哀切秘話 少女椿」がある。

これが、のちに発展して、長編『少女椿』になった。

「花を召しませランララン」と椿の花を街角で売っている花売り娘だった「みどり」

母が病死して、身寄りがなくなって、だまされて見世物一座に誘い込まれるいきさつを

語ったもので、その後の「みどり」の不幸な運命が単行本『少女椿』に描かれるのである。



別の短編「腐ッタ夜」は『芋虫』の前身といえる作品。

『芋虫』における夫婦の代わりに、父と娘が設定されている。まことに凄惨でグロテスクな

作品。


ネットでは『丸尾地獄』の宣伝をしている文句が、ふるっている。

《丸尾作品にとことんはまりたい人に『丸尾地獄』はおすすめですが、そうでない人には

 おすすめできない本です》

これが親切なメッセージだったと、読んでみてよく納得できた。

かなりコアな丸尾ファンでなければ『丸尾地獄』を愛読はできないだろう。

その点、『少女椿』は面白く読めた。ロマンティシズムがあるからである。

作品の完成度から言って、丸尾末広の最高作はやはり『パノラマ島綺譚』ではないか。