小津安二郎さん

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 この小津安二郎監督のポートレートは『水辺のモダン―江東・墨田の美術―』という美術展のカタログから貰ったものです。

 東京都現代美術館が2001年6月中旬から8月中旬までの2ヶ月間開催した美術展で、もうひとつサブタイトルがあって、それは『濹東遊覧案内』だった。

 「濹東と映画」のコーナーで「監督・小津安二郎の生まれ故郷として」の墨田をアピールしたものでした。

 そうなんです。小津さんは墨田の生まれです。正確にいうと、東京市(都ではありません)深川区万年町に明治36年(1903)12月12日に生まれました。
 父親は三重県松阪出身の寅之助で、肥料問屋を営んでいました。母はあさゑ。三歳上に兄新一がある次男でした。

 1910年に深川区明治尋常小学校に入学します。しかし9歳のとき父の故郷である松阪へ転居します。商売がある父親だけが東京に残り、あとの家族全員が松阪に移り住んだのです。
 宇治山田中学を卒業しますが、神戸高商の受験に失敗し、松阪市の小学校で代用教師をつとめたりしていました。
 20歳で上京して、親類のコネで松竹蒲田撮影所に入社を果たし、映画監督への道をあゆむのです。

 9歳までしか東京にはいなかったわけで、生粋の「東京っこ」というわけではないのです。

 もしろ、父親の郷里であり、彼自身がおよそ10年の思春期から青春期をすごした松阪市の方が、小津安二郎の精神形成に及ぼした影響は大きかったと思われます。