尾道の映画館
昭和30年代にあった尾道の映画館について調べている。
2012年2月1日発行の山陽日日新聞に、昭和30年代の尾道の映画館は、
駅前松竹、太陽館、セントラルがあり、久保の千日前には玉栄館、スバル座、日活、東宝の
4館があったと記している。
これは、わくわく亭の記憶と同じだ。玉栄館は東映作品の上映館だったと思う。
大映の上映館が見当たらない。
ないか。そうだったように思う。
ここに1953(昭和28)年の写真がある。
チンドン屋は2人組みで、先導しているおじさんは手に棒切れを持っているが、それに紐で
大きな丸い風船がつながっている。風船には「上映中」の文字と「セントラル」という映画館の
名前が書いてある。
さて、わくわく亭の視線は、チンドン屋のバックに見える映画の看板広告に向けられる。
拡大鏡をもってきて、よくよく検分すると、看板は2枚ある。
右側の看板にはトップに「スバル座」の名が見えている。
いま上映中の映画は、タイトルがはっきりとはしないが、明らかに洋画である。
この昭和28年当時、尾道千日前のスバル座は洋画上映館だったとわかる。
そして記憶では長谷川一夫主演の「地獄門」(昭和28年製作)がスバル座に掛かっていたと思うので、
スバル座は、この写真のころに洋画から大映映画へ衣替えしたのではないか。
左の看板は邦画である。映画館名が分からないのが残念だが、2本立て上映になっており、
現代劇と時代劇である。
それによって、この写真が昭和28年のものであることが分かる。
あとの1本は題名が、おじさんの頭に隠れて、ちょっと苦労したが発見した。
では、松竹映画と東映映画という会社の違う映画を同時上映しているのか。
当時はまだ地方では映画会社と上映館の系列化が進んでおらず、こうしたことはごく自然だった。
しかし、となると、駅前松竹の看板なのか、東映の玉栄館の広告看板なのか、どちらとも
決められない。
まだまだ昭和30年代の尾道映画館のことは資料不足である。