土本典昭の「市民戦争」

記録映画作家土本典昭(1928年~2008年)といえば水俣の記録が真っ先に思い浮かぶ。

尾道の駅前と駅前から近い海岸にあった、戦後の闇市の名残である「国際マーケット」の

ことを調べていて、土本氏の「市民戦争」という日本テレビの「ノンフィクション劇場」で

放送された作品があることを知った。

作品の解説文である。



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「市民戦争」(Civic War)1965/モノクロ/ビデオ(原版:16mm)/25分 監督:土本典昭 撮影:三島敏彦、板谷幸三 編集:杉山忠夫 音響:岩味潔 ナレーター:小松方正 製作:牛山純一 製作会社:日本テレビ 土本典昭が初期に手がけたテレビ・ドキュメンタリー作品。 広島県尾道市の通称「国際マーケット」に店を開く戦後の引揚者と朝鮮人が港湾整備計画で 無償退去を通告される。不法占拠者と呼ばれて住民は全員反対。市と住民のやりとりを克明 に記録している。

見たいと思って、Youtubeで検索したが、土本作品は水俣の記録はいくつもUPされているが、

この「市民戦争」はなかった。ビデオがレンタルや市販されてないか捜したが、見当たらない。

ドキュメンタリー専門の映画祭や土本典昭記念映画祭などでは上映されることもあるようだが、

いま見たいと思っても、つぎの上映機会をさがして待つしかない。

なにか本になって、作品の内容を紹介していないかと、あたっていたら、この本を

見つけた。amazon経由で購入した。

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5日ほどして届いたから、期待して開いたけれど、数行の解説文と、上にUPした女性の

顔写真が一枚あるだけだった。

がっかりだった。

ネットでこのドキュメンタリーについて書かれた文章をさがしたが、次のような簡単なものしか

みつからなかった。

在日コリアンと移転についての映像といえば土本典昭尾道で撮影した『市民戦争』
(1965 日本テレビ)がある。土本が撮ったのはしかし強制移転である。
行政の強引で一方的な立ち退きは圧倒的な力で無力のスラム街住民の生活を破壊する。
観るものも自然と土本同様スラム街の住民に共感するだろう。
この尋常でない事態を前にカメラの役割は重大であり、被写体もカメラの前で無念を訴える。
カメラと被写体は共犯関係にあり、映像を撮ることの重要性はすでに自明のものとされている。

土本典昭の『市民戦争』も、「もうひとつの戦後史」を知る上で貴重な作品である。
 尾道市にあった貧民街の強制撤去を、貧民街の住人で在日と結婚した日本人女性に視点を置いた、
告発と抒情の同居したこの作品。

土本典昭演出の『市民戦争』(1965)は、尾道市の国際マーケットの立ち退きをめぐる対決
を追っている。在日の店も多いこのマーケットは市当局による強制執行で奪われる。
ラストで市役所の職員を睨む朝鮮人女性の目のアップが印象的である。

圧倒的な強さを持った作品で、十数年ぶりくらいで見た『市民戦争』のラスト、
生きる場所を奪われた朝鮮人女性のねめつける眼と、彼らに何の関心も示さぬ市職員との交
わらぬショッキングな「切り返し」に至る頃には、なんか血流がおかしくなってまいり
ました。

尾道の戦後の状況について書きたいものがあるのだが、そのためにも見てみたい記録映画である。

誰かテレビを録画していないかな。その人がyoutubeに投稿してくれないかな。