「図書新聞」評

図書新聞(2014年06月21日)
評者◆志村有弘

忘れ得ぬ戦争の悲惨さが散文に韻文に
■戦争の悲惨さ・残酷さ、震災・原発の恐怖・苦悩を綴る作品が目立つ。
森岡久元の「昼下がりのダンスホール」(別冊關學文藝第48号)は、右記関谷の題を借りれば〈尾道 有情〉。
戦中・戦時下の尾道を舞台に幼年時代の「ぼく」とその仲間たちの姿を描く。
幼稚園の友寺岡園子の家は駐留軍のダンスホールとなった。園子に魅せられた豪州兵士と日本人女性のダンス。
歳月が流れ、そうした記憶をたどるべく尾道を散策する。
戦後まもない尾道の状況も資料をもとに、素直な文章で示されている。