資源大国ニッポン

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わが家の(元ガレージだった)庭のすみに転がるモニターです。

 なぜ、こんな写真を掲載したかって? 

 それは、日本が世界一の資源大国であるという話のイメージにと考えたからです。

 毎日「こちらは使われなくなった電機製品の回収車です。映らなくなったテレビ、使わなくなったパソ

コン、古くなったエアコン、乗らなくなったオートバイ、ございましたら無料にて回収いたします…」と

放送しながら軽トラックが巡回してきます。

 いつも、タイミングが合わなくて、呼び止めようと出てみたら、すでに通り過ぎている。というわけ

で、すでに半年も転がったままのモニターです。

 さらに一台、大型のヤツがあって、これは画像が流れて止まらなくなったモニター。庭に出そうとして

腰でも痛めたら大変だと、家の中にそのまま居座っています。

 これも回収して欲しい。

 ところで、こうした電子機器の半導体回路などに使用してきた大量の希少金属が、数十年にわたって日

本の地中に「燃えないゴミ」として埋めてきたわけですが、いまやその「埋蔵量」が世界各国の全埋蔵量

に比べて、世界一になっているのだそうです。

 それを名付けて「都市鉱山」と言うそうです。


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 朝日新聞の記事のコピーですが、希少金属であるインジウムの61%、銀の22%、アンチモンの1

9%、金の16%、スズの11%が日本の「都市鉱山」に埋蔵されているのです。


 日本は天然資源の乏しい国という認識でおりましたから、「世界一の資源大国」といわれて、とまどい

を覚えるではありませんか。

 しかし、資源の輸入大国であり続けてきたことはまぎれもない事実でした。資源を加工し、製品化し、

販売した電子機器が、廃棄され、地下に埋められて、その数量がいつのまにか、全世界の自然界に埋蔵さ

れている総量のトップになっていたということです。

 なかでも、インジウム希少金属です。世界中にある金属ですが、電子機器部品の必需品として掘り尽

くしてきたために、資源枯渇が叫ばれています。そのために、取引価格は2003年から、わずか3年後

の2006年には5倍に上昇しています。

 中国の政府高官がアフリカのナミビアを訪問してインジウム鉱山の開発と輸入に協力を表明したりした

のも、資源獲得競争の一環なのです。 
 

 われわれが捨てている電子機器の30%が主としてアジア諸国に「中古品」として輸出されます。実際

に修理して中古として販売される場合もありますが、多くは分解して、希少金属を取り出すために売買さ

れています。

 インジウムは毒性があり、発ガン性があるというのに、庭先で酸に浸けたりして原始的な方法で分解し

ていますから、発病、環境汚染が心配されている現状があります。

 数年まえ、あるSF作家が、東京の埋め立て地「夢の島」は100年後には、資源を発掘する「夢の

島」に再生するだろう、と半分ジョークとして書きましたが、ジョークどころではありません。

 「資源大国ニッポン」は、資源の回収と再利用のシステムと、科学的に安全なリサイクル方法を研究開

発すべきでしょう。

 いまに、家々を巡回してくる「こちらは無料回収車でございます」の放送がかわることでしょう。

 「こちらは、○○都市鉱山(株)の広報車でございます。どちらよりも高い価格で買い取りいたしま

す。どうぞ、当社にお譲り下さい」

 わくわく亭は、庭にころがったモニターを、そのときまで、置いておくべきなのか、どうか。