「小説に書かれた場所へ行ってきました」

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 僕の本『尾道物語・純情篇』を手にしながら、小説の背景になった場所を、すべて巡ってくださったという女性から電話をいただきました。
 
 山口さんは友人と二人で、いかれたそうです。

 山口さんは僕とおなじ高校の後輩で、詩を書く人です。

 『尾道物語・純情篇』のみかえしには簡単な尾道の地図が入れてあって、本に書かれた6つのものがたりの、その舞台となっている場所が図示されています。

 なかでも久保町丸山地区(現在は西久保町)は「渡船場の少年たち」「時のひずみ」「アイスキャンデー屋の二階」に関係した場所なのですが、そこをくまなくご覧になったようすでした。
 
 というのも、同行した彼女の友人(そのかたも女性)は、丸山地区に住んでおられたことがあって、通学、そして通勤の途中、毎日そのあたりを通り道になさっていたとかで、ずいぶんと地理にお詳しい。
 
そこで、僕の書いた、「細道」であれ「ポンプ井戸」や「むかし駄菓子屋だった」小屋であれ「石垣下の野菜畑」であれ、いまも残っているものを、つぶさにご覧になったようです。

 僕の本を読んで、そのように現地までたどってくださって、うれしいです。「作家冥利につきる」とはこんな場合に使うための「かっこいい」言葉でしたね、たしか。


 (上掲の写真は昭和30年ころのもので、『ふるさとの写真集』(国書刊行会)から借用です)