帯広ラーメン

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 大泉学園にある「帯広ラーメン・ロッキー」をご存知ですか?

 知る人ぞ知る(当たりまえのこと?)人気ラーメン店ですよ。東映撮影所の一郭にシネコンができて、建物の一階にいくつかの飲食店がはいっているのですが、その中に「ロッキー」があります。

 ラーメン店にしては、たっぷりと奥行きのある店舗で、がっしりとした部厚い木製のテーブルや、熊のイラストをあしらった壁のポスターが、北海道の荒々しい風土を演出しています。
 
 一番のおすすめメニューが「かにみそラーメン」というのも、帯広らしいじゃないですか。(とはいっても、僕は北海道は札幌しか行ったことがないのです)
 味はあっさり系で、僕のように濃い味が好みのものには物足らないのですが、同行した息子や妻には好評でした。
 器がダイナミックな大きさで、ふつうの店なら二人前の器かと思われるくらいの大型。たっぷりのスープ。麺は黄色でやや太め。
 客はシネコンにやってくる家族連れが主流なので、器と中味のボリュームも人気の要因なのかも。

 さて、話は帯広に仕事で行った息子の知人のことなのです。

 彼はなんでも配管のエンジニアかなにからしい。仕事のあとで酒を呑むと、どこで呑んでいたとしても、大泉学園の「ロッキー」までタクシーをとばして、そのダイナミックな大鉢の「帯広ラーメン」を食べないと気が済まない人なのです。

 今年の春、帯広に仕事があって出張しました。打ち合わせが終わり、4,5人で酒盛りとなりました。すると彼は、いつものようにラーメンが食べたくなり、しかも「帯広」にきているわけだから、
「帯広ラーメンのうまい店はありませんか」と土地の人たちに訊きました。
「帯広ラーメンの店というのは、知りません」というみんなの返事でした。
 彼は飲み屋の人にきいてもらいました。すると、
「ちょっと遠いですが、最近開店した評判のラーメンの店があります」と教えられました。
「いま帯広でいちばんうまいといわれていますよ」とのことです。
「タクシーを呼んで、そこへみんなで行こうじゃないですか。話のタネに帯広で一番のラーメンを食べて帰りたい」

 4,5人はタクシーにのったそうですが、帯広は「ちょっと遠いですが」といえども広い土地だから、小一時間もかかって、やっとそのラーメン店に到着しました。

 店は「帯広ラーメン・ロッキー」のカンバンを掲げているではないですか。

 もちろん彼はおどろいたことです。

 店の人に訊きました。
「東京練馬の大泉学園にもロッキーがあるんだけれど、なにか関係があるの?」
「はい。大泉学園はうちの本店です。この店は帯広支店です」
 彼は帯広までやってきて、大泉学園の味を味わったのでした。

 ラーメン業界は戦国時代。成功してチェーン展開するものもあれば、おもわくがはずれて閉店を余儀なくされるものも多い。
 はたして「帯広ラーメン・ロッキー」はハリウッド映画のロッキーのように不倒不屈の神話となれるでしょうか。