時代劇は滅びるのか?

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春日太一著『なぜ時代劇は滅びるのか』(新潮新書)は示唆に富む面白い本だった。

もう何年も以前から日本映画やテレビを見て、「どうなったのだ、時代劇は」と多くの時代劇

ファンは感じていたことと思う。製作本数が激減していたのは、制作コストが掛かるのに。それに見合う

興行収入が挙がらないからだと説明されていたと思う。

ところが、たとえば日本の米作農業が構造的に弱体化しているのと似て、時代劇製作現場も

構造的に弱体化衰退化していることが。この春日氏の本で詳しく解き明かされた。

もう時代劇は滅びる運命にあるらしい。

裏表紙の「時代劇がダメになった本当の理由」として並べられた項目を見て、もっともだと

同感する。

たまたま今朝の朝日新聞の「耕論」のテーマが「時代劇は生き残れるか」だった。こちらは俳優の

中井貴一さん、コラムニストのペリー荻野さんの議論は危機感の乏しい甘い論議。ただ評論家の

縄田一男さんだけが春日太一さんと同レベルの議論をしている。

縄田さんは「時代劇も歌舞伎のように國などが予算を投じて保護・継承していくべきだと真剣に

思う」とまでの危機感を表明して、「そうしなければ、確実に滅びる」と悲観する。