取り壊された尾道銀座商店街

日本全国には町の数だけ銀座商店街があるといわれたものである。

尾道にもあった。尾道駅前銀座商店街である。

尾道駅前から西に、国道の片側にあった数十軒の、ごくありふれた商店街で、「銀座」の

名が附いただけ、余計に地方の商店街という印象が濃かった。

わくわく亭が高校生の頃に、毎朝自転車でその前を通って通学していた。

ただの一度も、その商店街で買い物をした記憶がない。

尾道駅の東側には本通り商店街があって、なにか買い物をするときには、そちらへ行った。



尾道駅前が再開発によって景色が一変してしまったが、その再開発事業の中で、老朽化して

しまった駅前銀座商店街は取り壊された。1996年(平成8年)頃だと思われる。


実は、戦後駅前に形成された闇市が、駅前桟橋東側に移されて、国際マーケットと呼ばれて

いたが、後に昭和40年に強制撤去された経緯をブログに書いたときに、そこからさらに東へ

海岸伝いに行くと福本渡船場までの間に、これも戦後から作られた海岸マーケットがあって、

その取り壊しが何時のことだったか、調べていると、それは1998年(平成10年)で、

取り壊しの模様が尾道ケーブルテレビのニュース画像に残されていた。

そして、その画像の中に、あわせて銀座商店街取り壊しのシーンがあったのである。


こうした戦後に形成された町が、再開発事業のために撤去される画像は、その町を知っている

わくわく亭に、一種のショックを与えたのである。

特別親しみのあった駅前銀座商店街ではなかったが、その場所を地図で確認しながら、過ぎた長い

歳月を想い起こしつつ、テレビニュースから撮った幾枚かの写真をファイルしていると、

何かがひそやかに、よみがえってくるものである。


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(昭和37年発行の地図)


座商店街は専売公社の国道側用地170坪を尾道市が借用して、昭和23年(1948)8月に

建設したものらしい。それから1996年の取り壊しまで48年。老朽化も当然の歳月である。

写真の中に写っている看板文字などから、地図に載っている商店が、いくつか見つかる。

きんせいパチンコ、小林薬品、曽我たばこ店、三阪不動産などである。

地図上の商店名を写真の中に捜して見つかると、知らない店であるのに、懐かしくなるのも

妙なものだ。

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