『尾道物語・旅愁篇』の感想
元女子大学教授で、伝統ある文芸同人誌を主宰するOさんから届いた感想。
先日はご新著「尾道物語・旅愁篇」をお送りいただき、ありがとうございました。 早速拝読致しました。 優しく、ユーモアを蔵し、文学性を保ちつつ進む編々、興味深く拝読しました。 ことに「二月の岬」は父君青春の情と生々しさあふれる日記の後を, その子が辿るといううまい構成で、心情にあふれ、心うたれました。 すぐれた文学と思います。 また、若さにあふれた、不器用な女性遍歴物が多く、詳細なシーンの数々、 楽しく読ませていただきました。 足摺岬にはわたしは戦後50年ころ、はじめて行って岬の突端に立って、 茫漠の太平洋に初対面、たいへんショックを受けました。 戦争中は「太平洋を乗り越えて」などと歌って海軍の学校へ行った軍国少年でしたが、 実際にはじめて対峙して(というほどでもありませんが)、その向こうに敵がいる、 その茫洋と自身の矮小を感じて、打ちのめされた気持ちになったこと思い出しました。 旅愁と望郷の作品集、感動致しました。 ありがとうございました。小生、埃っぽい大阪育ち、美しい故郷ある人をうらやんでいます。 まだ暑い日が続くようです。どうかご自愛の上、ますますのご健康、ご健筆、お祈り致します。