看板の文字

バスが停留所に止まった。

停留所の真ん前にペットショップがある。

わくわく亭の前の座席に座っている男の子、幼稚園児か小学1年生くらいなのが、POP広告

を読んでいる。

「においが○になる…」○は漢字の「気」で、彼には読めなくてとばしている。

「ママ、においが、なにになるの」

「気になる」と隣のママが教える。

「においが気になるクソちゃんに…ママ、においが気になるクソだって」

まさか、とわくわく亭もPOPを見た。

いや、たしかに犬の消臭剤の広告で、においの気になるクソちゃんに○○消臭剤、とあるよ。

「あれは、ワンちゃんよ」

「ワ」のつもりなのだろうが、どうみても「ク」にしか読めない。ンとソはよく似ている。

「においが気になるクソちゃんだって」

男の子は自分の発見に大得意だ。

バスが発車する。