『尾道物語・旅愁篇』カバー・コンテスト
装丁者は倉本修さんです。
A,B,Cの3つの中から、どれがいいか、ご意見をお聞かせ下さい。
収録作品はつぎの6篇です。作品内容を「あとがき」から簡単にご案内します。
わたしの郷里は尾道です。郷里を離れて、いつしか五十年になりました。 郷里を離れて暮らすものには、心のどこかに望郷の念があるものです。そし て、都会に半世紀も定住しながら、かすかな旅愁に心がつねに晒されているも ののようです。どれだけの時が経とうとも、郷里を離れたものは、旅人だから でしょう。 「三原まで」は大阪に住む学生が、夏休みで尾道へ帰省する途中、普通列車 で相席した若者の哀切な綺談を、さいごまで聞くために、尾道で下車しない で、三原まで同行する話。 「二月の岬」は病死した父が、二十歳のときに体験した四国周遊の旅と、そ の旅で出会った女たちのことを書き綴った紀行文を、平成の今日、彼の息子が 読む話。青春の旅は、いつの時代もやるせないものです。 「あびこ物語」は大学を卒業して大阪で就職した主人公が、急な東京への転 勤までの三週間を過ごした、あびこのアパートで知り合った住人達との、ちょ っと変わった交遊録。郷里からまた遠ざかる。 「隠れ里の記」は尾道の一番踏切そばに暮らしていた友人が、その後行方知 れずとなり、彼が身を潜めている隠れ里を、主人公が探そうとする話。 「富士見橋の理髪店」は尾道から母を呼び寄せて暮らしたことのある田無駅 の近くで、白昼夢のような、奇妙な記憶の混乱を体験する話。 「尾道のラーメン」は少年の頃、寒い夜に家族と映画を観た帰りに食べた「朱」 さんのラーメンの記憶と、あわせてそのラーメンを「おそれいった」と絶賛した 作家の故檀一雄氏のことを書きました。 人はこの世に生まれ落ちたからには、所詮旅人で、どこで生まれて、どこで 暮らそうとも、旅愁はついてまわるものでしょう。
A案:
B案:
C案:
上記内容にふさわしいカバーはどれだとお感じでしょうか。
ご意見お待ちします。