「澪標」にエールを送る。
「澪標」は「みおつくし」と読む。
大阪の文芸出版社で、わくわく亭の小説をこれまで10冊出版してくれた会社である。
社長の松村氏は、わくわく亭の大学の後輩。
彼自身が2冊の詩集もある詩人であるが、詩の雑誌を発行する彼の情熱には頭がさがる。
発行すればするほど赤字がかさむ詩の雑誌。
詩を書く人はいても、詩の雑誌や詩集を買って読む読者がきわめて少ない状況がある。
厳しい状況の中で、しかも大阪で、情熱を保ち続けて奮闘するのが「澪標」であり、松村氏である。
そうした中で、今年3月に朗報がもたらされた。
さらに大野直子さんの『化け野』が日本詩人クラブ賞新人賞を受賞した。
松村氏は電話で、わくわく亭に、「詩の発行にこだわる澪標に、ようやく注目があつまるように
なるかも」と喜んだ。
季刊として「澪標」が発行する数冊の詩誌がある。その一つが『びーぐる』である。
ここに連載していた細身和之、山田兼士両氏による討論「この詩集を読め」が、本になった。
すると、まず読売新聞が書評にとりあげて好評だった。
そして、この20日(日)の朝日新聞読書のページで、『討論 この詩集を読め』が取り上げられた。
書き手ばかりで読み手不在と言われる現代詩の世界に、一石を投ずる本が出た。『討論 この詩集を 読め 2008~2011』(澪標、1575円)だ。 詩人で文学研究者の細身和之、山田兼士漁師が、編集する季刊詩誌『びーぐる』で新刊詩集を語り あった内容をまとめた。 難解な詩の平易な読み解きとは違う。全身を感覚器にして詩集に向き合う両氏が、感じたものを 言葉に置き換えていくライブ感覚の熱さ、詩人の心と研究者の頭を往来する2人を追っていくうち に、詩集の輪郭があぶり出されるおもしろさがある。 こんな本が大阪の詩壇、出版社から出るところも、また奥行きが深い。(星野学)
この記事を見つけて、わくわく亭はすぐに松村氏に電話した。
記事の内容を読んで知らせると、
「これから朝日を買いに行ってきます」と言う。
そして、
「詩のつぎには、小説です。わくわく亭さんの本の○○賞受賞ですよ」
なんとうれしい言葉であろうか。^^
そのことは別にして。
彼の詩の雑誌出版への情熱へ、エールを送る。