ちょっと薄気味悪い深夜電話
昨夜深夜の2時過ぎ、洋画専門チャンネルで恐怖映画を観ていた。
「切り裂きジャック」の映画。
でも紹介している。
まあ、とにかく、恐い原作であり、映画なのだ。
この映画を観るのは2度目。
いよいよ最後の犠牲者が狙われる場面が近づいていた、その時、電話鳴った。
まもなく午前2時半だ。
こんな時間にどこからの電話だろうか。
どうせ間違い電話だろうから、放っておけば、すぐに鳴り止むだろう。
テレビの画面では殺人者の馬車が走り始めている。
うるさい電話の音は鳴り止まない。
やれやれ、とやや警戒して、受話器をとった。
「はい、もしもし」と僕はこちらの名前を言わなかった。迷惑電話にこりているからだ。
「もしもし、奥様にお知らせしたいことがございます」と陰気な声が言う。
「どちらへ電話おかけですか」
「ですから、奥様にお知らせしたいのです。奥様が親しくしておられた○○さんが、ついさきほど
30分ほど前にお亡くなりになりました。そのことをお知らせしたくて、こんな深夜に失礼をも
かえりまず…」
○○さんが亡くなった?
○○さんの名前に心当たりはない。
「あなたは、誰に電話をお掛けなんですか」と僕は訊いた。
「ですから…」と言いかけて、その後、奇妙な声になった。笑い声だったのか、なんなのか。
ドアが開いて、眠そうな顔をした女房がのぞいて、
「誰から、こんな時間に」と訊いた。
電話は先方から切れた。
「○○さんが亡くなったから、奥様に知らせたいって」
「そんな人知らないわよ。いたずら電話じゃないの。あんまり呼び出し音が長いから目が覚めたの」
と女房はドアを閉めた。
こんな時間にいたずら電話でもないだろうから、間違い電話か?それにしても、名前は名乗らなかったし
こちらの名前を確認もせず、「ですから、奥様にお知らせしたい」と繰り返した。そして、だれかが
死んだらしい。
あれは、なんだったのだろう。
ちょっと薄気味が悪い。
映画の『フロム・ヘル』では最後の犠牲者が映されていた。