劇団東演「つがいのエプロン」

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劇団東演の第137回公演「つがいのエプロン」を見てきた。

劇場は東演が自前で所有運営している下北沢にある「東演パラータ」である。

下北沢駅から歩いて15分。

わくわく亭は駅前でタキザワさんと待ち合わせて歩いて行く。

途中居酒屋「都夏」(つげ)の前を過ぎるが、ここから劇場まで送迎車が往復して

高齢な観客の便をはかっているのも、この劇団らしさである。

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やがて住宅の多い通りに面した「東演パラータ」が見える。

お向かいには喫茶店邪宗門」がある。

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このパラータへ来るのは初めてなのだが、劇の主演をつとめ、劇団の座長でもある女優の

山田珠真子さんは、知りあって数十年になる旧知の間である。

劇団東演といえば、朗読劇「月光の夏」で全国的に有名な劇団で、国内ばかりでなく

中国北京をはじめ海外にまで出かけて上演している。

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「つがいのエプロン」は作:堀江安夫、演出:原田一樹で、初老の考古学者夫婦の「愛情物語」である。

妻は子連れの再婚者、夫は考古学のことしかわからない不器用な一徹もの。

突然妻が離婚を申し出るので、夫も娘夫婦も大混乱となる。離婚を撤回する条件として、

夫に学問以外の家事労働を義務づける。実は妻は乳がんの再発で余命が一年しかなかった。

その間に夫が一人で生きていけるように日常生活の勉強をさせたのである。

じんわりと夫婦の結婚のなれそめから、縄文人の死生観までを語りながら、夫婦の「愛情物語」

で観客に人生の深い味わいを覚えさせる2時間の劇である。


妻を演じる山田珠真子さんの演技は、もはや自然体で役を演じることができる芸域に達している

名演だった。

タキザワさんが「杉村春子のような肩から力の抜けきった、すばらしい自然体の演技ですね」

といった通りである。


下北沢の迷路のようになった、にぎやかなライブハウスも多い街を下北沢駅まで戻り、

電車で吉祥寺に出て、いつものように居酒屋でおしゃべりである。

またしても、われわれは珠真子さんの演技を賞賛するのである。