槇林滉二『日本近代文学の内景』

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槇林滉二著作集〈4〉『日本近代文学の内景』(和泉書院

オビの文に本書の内容が要約されています。

《日本近代や日本近代文学は、その生成の過程を含め、様々な地層や断裂がある。本書は、それらの

 地層内質の襞や断層の点綴を試みたものである。近代初頭の北村透谷の闘い、内発論や日本近代文学

 の生成、更には漢学や漢文学受容の位相などに地層の内実とその意味を探り、室生犀星佐々木基一

 の精神渉猟、倉田百三や三好十郎の人間測深、壺井栄井伏鱒二などの文学原郷追跡などに、日本

 近代の内襞とその較差を量る》

この要約を読んでも、まことに真面目な日本近代文学の研究書であることが分かります。

「第3章 日本近代文学の諸層」の「第3節 文学と地層」は、つぎの内容です。

  (1)壺井栄と島ー胎内の地としてー

  (2)井伏鱒二尾道

  (3)日本近現代文学に描かれた尾道ー散文関係を中心にー

この(3)こそが先に(6月22日)紹介した「尾道大学芸術文化学部紀要」に発表された論文

なのです。つまり『尾道船場かいわい』が志賀直哉林芙美子井伏鱒二につづいて

平成期における「尾道の文学」の一つとして論じられている論文なのですよ。


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広島の槇林滉二教授へ礼状を書き、『十八歳の旅日記』を同封して送ったところ、

長文の、しかも自筆による返書を頂いた。贈呈した本の読後感想が書いてあるのですが、

いかにも日本文学の学者らしい、懇切丁寧な感想文で、わくわく亭はすっかり恐縮して

しまいました。

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この『日本近代文学の内景』一冊はわくわく亭にとって「お宝」本になりました。