槇林氏の『十八歳の旅日記』評
からわくわく亭の著書『十八歳の旅日記』について戴いた感想を紹介しよう。
氏の著書『日本近代文学の内景』からも分かるように、氏は新聞雑誌に寄稿する文芸評論家ではなく、
本格的な明治から現代までの日本文学の学者ですから、この感想はずっしりとした重みをもって
受け取っています。
(略) 『十八歳の旅日記』早速拝読、面白く、そして多く考えさせられるものもあり、大切に大切に 読ませていただきました。「ストローハットの夏」「ペリット」などの鮮やかさ、暖かさ、ロマン、 スピード、現実の感覚の切れ味など心うたれつつ読みましたが、わけて、「十八歳の旅日記」に 魅せられました。 冒頭にも記された松本清張の『或る「小倉日記」伝』をまさに彷彿して、それより身近に感じられ 構成の巧みさ、資料の鮮やかで深々とした使われ方、感じ入りました。 倉本美都子という魅力ある女性も設定が見事で多く余韻を残します。森岡様、昭和15年生まれ のよし、私は昭和14年生まれで、まさしくこの小瀬戸の設定にも親近感を増します。 「驚喜亦涕涙」を「○○亦○○」と伏して送る構成も、そして最後を「受信の幻聴」で終わらせて いるのも私には魅力的でした。 頼山陽の弟、実は山陽の子であったという仮説もいかにも魅力的な説で、十分成立しそうな 気がしてきます。 (略) 御著多くの刺激をうけました。御導き御礼申しあげるばかりです。
とても謙虚で真面目なお人柄だとわかります。わくわく亭はパソコンで打った手紙をさしあげている
のに、直筆で便箋に3枚のご返事をくださった。大変光栄に思い感謝しています。