硬直化した日本的システム
韓国のジャーナリストを招いて、日本の緊急事態への対応の仕方について討論した。
被災者が秩序を保つ行動をとっている現状を見て、世界は感動し、賞賛している一方で、
政府や官僚の危機対応が遅すぎるのを批判的に見ている。
上から下まで、マニュアルがないと機能しないのがその原因で、平時は秩序のある機能を
果たしているが、予期しない、つまりマニュアルのない緊急事態が起きると、パニック
を起こしてフリーズしてしまうのが日本的特徴だという。
ゲストの一人でグレゴリー・クラーク(多摩大名誉教授・ジャパンタイムスコラムニスト)
は阪神淡路大震災のときの話を例にあげた。
神戸に火災が広がって、消防車による消火活動が困難なとき、なぜ自衛隊に要請して
ヘリコプターによる海水投下による消火ができないのか対策本部に質問した。
海は目と鼻の先にあるのだから、海水で空から消火すればいいではないかと。
しかし、それは実行されなかった。
理由は、空から何トンをある水を投下して、倒壊した建物の中に取り残された人を
圧死させる恐れがあるからだという返事だった、という。
つまり、マニュアルになかったから、その方法を現場で即決して決断実行できる責任者がいない
というのが日本的システムの弱点だという。
今回の福島原発事故対応でも、原子炉内の圧力が高まり、爆発の恐れがあると分かっていながら
ベントを決行するのが、マニュアルになかったため、現場では決断ができなかった。
しろと命じたにもかかわらず、東電の現場はパニックでフリーズしてしまい、ベントが
遅れた。そのために水素爆発を起こして、今日の深刻事態となった。
アメリカ人はパニック映画が好きだ。
されていない事態に遭遇したとき、いかに対処して切り抜けるかをテーマにした映画だ。
現場のリーダーの決断。「想定外」の事態への対処。
これが硬直化した官僚システムの日本では「想定外」に対処できない。遅れてしまう。
番組は何度も再放送をするだろう。
啓発をうける討論だと思う。