福島原発事故はいつ収束するのか
事故の内容、危険度、安全性の問題、いつまで緊急事態は継続するのか、等々を
設計当事者としての重い反省を込めながら、たいへんに
参考になる講演である。
ゲスト出演して、福島原発で何が起きているのか、くわしく解説している。
実際には15メートルの津波に襲われて、すべての電源が破壊されて緊急事態となったのである。
原発はいかなる不測の事態にも対応できる安全設計をするが、究極の安全は獲得できない。
それでは経済的に電力発電ができないという限界点があるからである。
どこかで、「想定外」の1000年に一度の危険な可能性とか、隕石にあたるほどの確率
といった危険性は、設計から落としてしまう。
辞職したというシロモノらしい。
今回の事故発生で、技術者の一人フライデンボ氏がロイターのインタビューで語っていた。
炉心が爆発すれば最悪の事態になる。
それを防ぐためには、炉心と使用済み核燃料を冷却しなければならない。
そのためには、電源、ポンプ、水が不可欠である。
いつまで冷やしつづけることになるのか。
7~8年程度は続けることになるだろう、とのこと。
「ベント」というバルブがある。
格納容器の中の圧力が高くなりすぎると、爆発のおそれがあるから、放射能を含んだガスを
外に出すため、このベントを開いている。
そのために空気中に放射性物質が放出されている。
これからも、格納容器の内部圧力を測りながら、ベントからの放出はくりかえされることになる。
放射能汚染はつづくという結論なのだ。
フランスの同種類の原発では、ベントから出るガスに巨大なフィルターがつく。
それを義務化している。
しかし、日本ではフィルターはついていない。
ベントを開くという事態はありえないから,原子力安全委員会は必要という指針を出していないから
である。
まさか、といまになって安全委員会の学者達は、青くなって、沈黙をまもっている。
考えた。
そうしたありえない大事故を「過酷事故」と呼ぶそうだが、
1994年ころに、過酷事故がおきることはありえないが、万一起きたための対策を
安全委員会は「義務ではないが、民間が自主的に対策する」ことを容認したそうである。
電力会社にとって、巨額の「過酷事故」対策はとるはずがない。
義務化ではなく、ただの自主的対応なのだから。
「過酷事故」が起きたのである。
これが、日本の原子力発電の安全委員会の実態だったのである。
をまきこんで,安全神話を創ってきた。
さて、これから、どうなるのか。
福島原発の1~4号機は格納容器が一部破損しているとみられている。
ひたすら燃料棒と炉心の冷却をつつけて、現状維持をする。
放出される放射性物質の量を可能なかぎり最小にしながら。
数年間という危険と不安な時間を、国民は耐えていくことになる。
以上が、後藤政志氏の話である。