犯罪都市で警官50%解雇でいいの?

昨年10月10日に「75ドルの市民サービス」という記事を書いて、

アメリカの地方財政が困窮のため75ドル支払わないと、犯罪被害があっても警察が

来てくれないというバージニア州のニュースを紹介した。


いまアメリカ全国で、こうした地方財政の悪化による公務員の人員整理、削減による

市民サービス低下が急速に進んでいるのだが、カリフォルニア州では公立学校の先生の

数が1年に20%も削減され、昨日まで生徒達を教えていた大勢の先生が失業者に

なったり、ホームレスになったりしている。


地方自治体が財政赤字になれば、公務員の給料、人員カットに手をつけるのは、イギリスでも

アイルランドギリシャでも世界的に津波のように広がりつつ、実施されている。


今朝のアメリカCBSニュースで伝えていたニュージャージー州のCAMBENという市

の人員削減は驚くような内容だった。


市長が発表したのは、警官163人、消防隊員63人を、1月中に解雇するというもの。

その人数は全警官の50%、消防隊員の30%に相当する。

市では年間2600万ドルの赤字が発生しており、赤字削減策の一部だという。

このCAMBENという市について、日本では知られていないのだが、

全米で2番目に危険な都市だといわれ、全米平均の5倍の犯罪発生率があるという、

アメリカ有数の犯罪都市らしい。

その犯罪多発都市で、警官の50%解雇とは。


マスコミが警察に、

「すべての事件への対応が不可能になるだろうが、どうするのか?」と訪ねていた。

警察の答え。

「すべてに対応は不可能なので、優先順位をつけることになる」

軽犯罪、器物損壊、不法侵入などでは警察は出動しない、とか。



たとえば、酒場で客があばれて食器をこわしたりガラスを割ったとか、

日本でもよくある、学校の窓ガラスを割ったとか、コンビニで万引きしたとか、

ゲームセンターで負けた腹いせで機械をたたき壊したとか、そのていどの

器物損壊や窃盗くらいでは、警察に連絡しても、

「自分で解決して下さい」といわれることになる。

CAMBEN市民はこういっている。

「もう犯罪者は、やりたい放題だ」



火事も「優先順位」となると、

家一軒だけが燃えている、小さな火事では、消防車がきてくれないのだろうか?


日本だって、財政赤字でにっちもさっちも行かないくせに、議員は報酬を減額しない、

公務員の数も減らさない、そんな自治体ばっかりだから、いつかはアメリカの

二の舞になることは時間の問題だ。