女房、感極まる

11月29日。

那覇から羽田に戻り、大泉学園駅行きのバスの中でもこと。

わくわく亭の女房が、となり席の息子のダイスケから何かを受け取った。

「ええ?なにかしら」

沖縄旅行の興奮の余熱が冷めていない彼女に、倅は、

「もう一回、サプサイズを、どうぞ」と言った。

それは、ちょっと手の込んだクリスマス・カードだった。

ページを繰っていくと、最後のページに手書きのメッセ-ジがある。

沖縄のジュンとアキナ、そしてダイスケ3人の名前で、プレゼントが貼り付けてあった。

「ウソー、ほんとう?」と女房は声を発してから、しばらく沈黙。

感極まっているのである。

ようやく、感激の思いを飲み込んでから、

「うれしい。ありがとう。夢みたい」と言った。


それは、彼女が数ヶ月前から欲しがっていた、コンサートのチケットだった。

ネットで申し込もうとしたり、オークションでさがしたりしていたが、ペアでないとだめだったり、

法外のプレミアがついたりしていて、ついに諦めていたチケットだった。

矢沢永吉 コンサートツアー2010 日本武道館公演 最終日のチケット”

それだった。

ダイスケは彼女に内緒に、ネットで入手しておいたのを、いま、

クリスマス・プレゼントとして手渡したのである。

憎い演出を、倅たちはするよ。

「ああ、うれしい。またこれから眠れなくなるわ」

ああ、夜眠れないとは、女房は気の毒だ。

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