CDおまけ商法

CDが売れなくなって、音楽産業は制作から販売店までが苦況に追い込まれている。

CDを買わないで、好きな曲はネットでケータイなどにダウンロードして聴くのが

一般的になっているからです。

そんなCD不況のなかで、女性アイドルグループ「AKB48」のシングル「ビギナー」が

10月27日の発売からわずか10日あまりで出荷枚数が100万枚を超えたと、

にぎやかに報じられています。

「AKB48」って何?

中高年や高齢者には、なじみのないアイドルグループかもしれませんね。

わくわく亭は知っていましたよ。

5年くらい前から、アメリカのFOXテレビが放送している「アメリカン・アイドル」という番組を

楽しんでいるのですが、その番組のCMで「AKB48」というどこかの高校の制服を

着たような少女たち48人がダンスをしながら歌っていたので、こんなカッコいい

グループがいるんだ、なぜもっと評判にならないんだろう?と思っていたのですが、

この5年のうちに、大変な人気アイドルに成長しました。



秋元康というやりてのプロデューサーが、数々のユニークな方法を駆使して

これまでにない「アイドル」の新スタイルを生み出したのです。

まあ、それは別なサイトで詳しく読むことができるはず。



ここで面白いのは、爆発的な売り上げを記録しつつあるニューシングルの販売方法です。

おまけ商法。

たとえば、グリコのキャラメル。ちいさなオモチャがおまけについていたでしょう。

子供たちは、オモチャが欲しくてグリコキャラメルを買いました。

オモチャが購入目的だった。

子供の月刊誌や女性誌にも、いろいろな「付録」をつけて雑誌の購買意欲をそそりました。


そのマーケティングの手法を秋元康プロデューサーは採用しています。

CDは初回限定生産盤と通常盤があります。

ジャケットが異なるので、熱烈ファンは両方を買いたくなる。

初回限定盤にはおまけとしてアイドルたちと握手ができる「全国握手会」の参加券、または

アイドルの生写真のいずれか一枚がランダムに封入されている。

握手券も写真も欲しいファンは、くじを引くように、複数枚CDを買います。

またA盤、B盤というようにメンバーを替えてあるから、これも複数枚欲しくさせる。

というわけで、ファンは一枚では満足できないという仕掛けがなされている。



発売後、どんどん売れて、その一方では、ネットのオークションに大量に出回るという

珍現象がおきている。

しかも値段は底なしの投げ売り状態だそうです。

なぜか。

複数枚買ったファンは、自分が欲しい「おまけ」をゲットしたら、どうでもいい方は

売りに出す。あるいは、「おまけ」だけ抜き取って、CDだけは売りに出す。

だって、ほしかったのは「おまけ」なのだから。


というわけです。


はたして、100万枚を突破した「AKB48」のシングル「ビギナー」は、どこまで

売り上げを伸ばすのでしょう。

そして、オークションに出回るCDの枚数はどこまで新記録をつくるのでしょうか。


それにしても、これは、ますますさびしくなるCD業界のあだ花現象といえるでしょうね。

音楽を売るのじゃなくて、「おまけ」を売って商売しているのだから、

音楽産業の地盤沈下を促進する商法なのではないか。