「小石の由来」新聞評

『酩酊船』25集に発表した小説「小石の由来」について、5月29日の神戸新聞(同人誌評コラム)

で、作家の竹内和夫さんが作品評を書いて下さった。

森岡久元「小石の由来」は、小学4年生の俊介が、老人ホームで介護を受けている祖父を

ママと見舞う時間経過の中、道楽者の祖父の人となりをそれぞれの語りで照らし出す。

祖父の誠造は日本橋の小間物卸商の総領として生まれながら家業を顧みず、囲碁、将棋、

マージャン、ビリヤード、プロ野球の練習生や流行歌手に入門するなど、さまざまな

遊芸に手を出してきた。

妻子を捨てて別所帯をもっていたが、今は娘の家族の援助でホーム暮らし。

しかし気位は高く、音楽療法の時間にはねだられて美声を聞かせ、合唱をリードする。

娘の千香子は幼いころには好きだった父を今は軽蔑しているが、孫息子の俊介は祖父を

尊敬している。

三者三様の心模様が描き分けられ、祖父の死後、白い碁石のような祖父の骨を

2人が口に入れ、3代家族の和合が果たされる。

技巧を駆使した快作である。



神戸新聞の切り抜きを送って下さったのは、姫路在住の日本舞踊家坂東大蔵師匠である。

「坂東大蔵おどりの会」は例年のごとく、6月20日に開催されるが、

今回は第52回になるという。その長い芸歴に敬服する。

今回は「兵庫県文化功労賞受賞記念」と銘が打ってある。

2日前に、この新聞評のことで、坂東さんから電話をもらった。

「批評に『快作』としてあるから、おもしろい、いい作品なんでしょうね。

わたしは読んでないわね。雑誌もらってないんじゃない?送って下さいな。

『おどりの会』が終わったら、読ませていただくから」

送ってなかったか。

それはいかん。

昨日「酩酊船」をあわてて送った。

坂東さんとの交遊は、早いもので15年になる。

若い頃は「前進座」で女形として修行されただけに、いまもなお、芸に色気がある。

会のプログラムの写真から、坂東さんの舞姿を拝借する。

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平成10年所演「唐人お吉」

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平成11年所演「吉野山