「女の100年」から(3)
二組の夫婦の写真がある。
一枚は、しあわせの絶頂期と映る湯川秀樹・スミ夫妻。
取り戻すことができた。
受賞パーティーで踊る夫妻。
このあとで、スミ夫人は日本舞踊を披露したそうである。
湯川秀樹さんは結婚初夜に、
「君が、ノーベル賞をもらいたいのなら、二人で努力しましょう……」と新妻に言ったそうであり、
約束を見事に果たしたと、雑誌に秘話が書かれている。
つぎの一枚は、あまり幸せそうな顔をしていない夫婦の写真である。
夫は、文豪の谷崎潤一郎。
腕組みをして、(わくわく亭の気のせいか)きびしい表情である。
離婚直前の写真だという。
佐藤に譲られた妻千代子の写真である。
家庭に寄りつかなかった谷崎と、さびしい境遇の千代子に同情した春男。
千代子と春男は恋仲になり、谷崎は春男を絶交する。
そして、彼らの不幸な関係は12年間続くが、昭和5年、谷崎は「佐藤に千代子を与える」という
声明を朝日新聞紙上に掲載して、決着がついたのである。
この写真で、わくわく亭は「千代子」さんの顔をはじめて見ました。
色白でぽっちゃりした体つきの女性ですな。
女の子は娘の鮎子ちゃん。父親似のようだ。
背景は谷崎邸。