「女の100年」から(3)

二組の夫婦の写真がある。


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一枚は、しあわせの絶頂期と映る湯川秀樹・スミ夫妻。

昭和24年、悲惨な終戦の年から4年後のノーベル物理学賞受賞で、日本人は誇りを

取り戻すことができた。

受賞パーティーで踊る夫妻。

このあとで、スミ夫人は日本舞踊を披露したそうである。

湯川秀樹さんは結婚初夜に、

「君が、ノーベル賞をもらいたいのなら、二人で努力しましょう……」と新妻に言ったそうであり、

約束を見事に果たしたと、雑誌に秘話が書かれている。





つぎの一枚は、あまり幸せそうな顔をしていない夫婦の写真である。

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夫は、文豪の谷崎潤一郎

腕組みをして、(わくわく亭の気のせいか)きびしい表情である。

離婚直前の写真だという。

日本文壇史に伝説的な逸話として残る、妻を親友の佐藤春夫に譲った谷崎と、

佐藤に譲られた妻千代子の写真である。

家庭に寄りつかなかった谷崎と、さびしい境遇の千代子に同情した春男。

千代子と春男は恋仲になり、谷崎は春男を絶交する。

そして、彼らの不幸な関係は12年間続くが、昭和5年、谷崎は「佐藤に千代子を与える」という

声明を朝日新聞紙上に掲載して、決着がついたのである。

この写真で、わくわく亭は「千代子」さんの顔をはじめて見ました。

色白でぽっちゃりした体つきの女性ですな。

女の子は娘の鮎子ちゃん。父親似のようだ。

背景は谷崎邸。