土門拳の写真集『風貌』

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先月、蔵書の整理をして、1000冊ほどの本を処分した。古書店に売ったものもあれば、

資源ゴミの日に出したものもある。蔵書の重量で床が傾いたり、ガラス戸や雨戸の開閉が

しにくくなったために、造り付けの書棚を増築したりして、これ以上家が傾くのを、なんとか

止める手立てをした。大工は、基礎のコンクリートにまでひび割れが生じているから、

大きい地震があると、このままではキケンがある、と脅かすのだが。


その蔵書整理のときに、土門拳の人物写真集『風貌』が出てきた。

昭和52年から53年にかけて講談社文庫から、『風貌』『続・風貌』『続々・風貌』の3巻

として出たもの。

もちろん絶版だから、文庫とはいえ、いまネットでは3巻そろいで、5000円ほどの

値がついている。


3巻合計で85人の写真が収めてある。

その中から、10人の写真を、「驚異の美術館」にUPすることにする。


すべての写真には、その撮影にまつわる土門拳さんの秘話が添えられていて、それは

被写体となった著名人たちの土門さんによる見事な人物月旦になっている。

『風貌』はまことに名著と呼ばれるにふさわしい写真集である。


昨年、この「驚異の美術館」に木村伊兵衛さんの風景と人物写真をUPしたが、

志賀直哉永井荷風など同じ人物を撮った写真もあるから、比較しながらご覧

いただけると、興味が増すのではあるまいか。


一枚目は、我が国の「小説の神様」といわれる志賀直哉さんである。

撮影日は1951年6月9日、志賀直哉68歳である。