「花見酒」の薬物篇

「薬物のコンビニ」が逮捕されたという。

大阪の2人組が大阪市内のマンションや路上で、覚醒剤大麻合成麻薬、コカインなど

およそ10種類の薬物を、相場の半値で大量販売していたとして逮捕された。

1ヶ月の売り上げが2000万円あったそうだ。

「薬物が24時間お手軽に買えます。しかも市価の半値のお買い得」ということから、

「薬物のコンビニ」と呼ばれていた、というから仰天もの。

かれらは浪速区にあるマンションを拠点にしており、テレビでは室内に種類ごとに分類

管理された「在庫」品が映し出されていた。

近頃、芸能人ばかりか、大学生や主婦までが、住宅地で売買している様子が報道されている。

ここまで薬物が蔓延しているのかと、いまさらながら日本も欧米並みの麻薬汚染地帯に

なっている実態に衝撃をうける。

ネットやケータイで容易に買えるというが、わくわく亭などが見ているネット情報では

どこにもそんな情報を見かけない。

アクセスの仕方があるのだろうが、近寄らないことが一番だ。



「薬物のコンビニ」がどれほど繁盛していたかというと、

1.主犯のSが、一人では手がまわらないほど忙しくて、共犯者を雇う。

2.共犯者Tは、日給1万円で雇われるが、忙しくて眠る時間もない。

3.眠くならないように、商売モノの覚醒剤を自分たちも使いながら、商売をしていた。


ここで、わくわく亭は落語の『花見酒』を思いだしたよ。

長屋の2人が、酒手を稼ごうと、酒屋で都合してもらった酒樽を担いで花見の場所にでかける。

いざ花見の場所に着くと、ノドがかわいて酒が飲みたくなる。

弟分が、5銭を兄貴分に渡して、柄杓で一杯、商売ものの酒を買う。

兄貴分もそれを見て、自分も飲みたくなる。

いま受けとった5銭を相手に渡して、自分も一杯酒を買う。

こうして5銭が2人の間を行き来するうちに、すっかり酒樽は空になる。

空になった樽を見ておどろく。

ちゃんと酒代を受けとって、3升の酒を売り尽くした、どうしたことだ、と

5銭しか残らない理由が弟分には分からない。

兄貴分がワケを説明してやる。

そうか、5銭で3升の酒が飲めたとは、安い酒だ、と弟分は納得する。


「薬物コンビニ」では雇われたTが、薬物商売が忙しすぎて24時間寝る間もない。

「兄貴、商売モノの覚醒剤を使いまっさ」

「ちゃんと代金払うんやで。市価の半値や、お買い得やで」

「ほなら、日当の1万円で買いまっさ」

「よっしゃ。わしも眠たいから、1万円分買うわ。ほら、お前に払う」

「おおきに」

とやっているうちに、さすがに睡眠不足でくたくたになる。

警察に逮捕されたとき、

「これで、ぐっすり眠れるで」と喜んだ、かどうだか。