点字図書と録音図書

先日のある会合で、神奈川県に住む女性の友人から、

「あなたの『尾道物語・幻想篇』の中から、「奥の池の池のギンヤンマ」と「横綱がとんだ、あの9月」

の2つを点字図書に翻訳したいというお友達がいるんだけど、いいですか」

と了解をもとめられた。

「ぜひ、点字本に訳してもらってください。ありがとうと、言っていたとお伝え下さい」

「ギンヤンマの物語の作者は、きっと純粋なひとだろうな、といってましたよ」

「そこそこに純粋だ、と説明しておいてください」と、笑いながら、わくわく亭は少し照れました。


点字図書は、視覚障害のある人たちのために、ボランティアによって、点字翻訳されています。

すでに、わくわく亭の『尾道船場かいわい』も三重県名張市に住むETさんの

手によって、点字図書にしていただいている。

三重県伊賀市の上野点字図書館に5冊所蔵。TEL0595-23-1141)

彼女に点字翻訳の方法を聞いたことがありました。

パソコンのようなキーボードに向かって、原作を目で読みながら、入力していくと、

点字に変換できるシステムがあるのだそうです。

一月に数冊ボランティアで翻訳するとも言っていました。

それにしたって、自分の時間を費やしてやる無償の行為です。

「感動した本を、視覚障害のある人にも読んでほしいのです。それだけのこと」

と彼女は、こともなげに言っていた。

「つぎは、あなたの『南畝の恋』も訳したいのだけれど、漢詩を訳するのがむつかしいわ」

あれから、どうなったろうか?


点字図書のほかに、録音図書があります。

原作を朗読してテープに録音したものを、再生して耳で聞いて貰う図書です。

わくわく亭の『ビリヤードわくわく亭』を朗読してテープ6本に録音してくれた人が

います。

その人の知人で、弱視の方のために制作した録音図書です。

わくわく亭のもとにも、6本セットを届けてくださった。

何時間かかけて制作された、労作です。

そこまでして、自分の本を読んでくださる方がいるとは。感激でした。

そして、自分の本を、他人の声で聞くというのは、とても新鮮な体験でした。

目で読むのとは、また一味も二味も違う読書体験です。