『諸君!』最終号から(2)

『諸君!』最終号に、新鋭の評論家坪内祐三さんが「人材不足」に陥った保守論壇」という

記事を書いている。雑誌の廃刊が決まったと知ったとき、「あっそうなの、でももうそろそろ

潮時かもね」と感じたそうだ。

それほど現在の言論界、思想界には影響力のある才能が不足しているという意見だ。

なにも言論、思想分野に限らない。小説家にしても昭和期の文壇に栄えた作家たちの名前と

今日の書店にあふれている作家名を比べてみればいい。文学の衰退が明らかである。

では、かつて『諸君!』に寄稿していた言論人の名前を、特集「輝ける論壇の巨星たち」

から見てみることにしよう。


山本夏彦山本七平三島由紀夫江藤淳高坂正堯、といった名前が並ぶ。

こうした言論人を失ったことによる巨大な穴が、現在の人材で埋めることができないのなら、

総合雑誌は次々と休刊、廃刊に追い込まれても仕方あるまい。