日本カゼと呼ばれているって?

アメリカでは、現在世界に拡大中の新型インフルエンザを、JAPANESE・FLUと呼ぶ人が増えている」

と、今朝のテレビ番組「とくダネ」(フジテレビ)でコメンテーターの諸星さん(桜美林大学院教授)が話していた。

FLUはインフルエンザの略語。

メキシコで最初に発症者が出たのでメキシカン・フル(FLU)と当初マスコミは呼んでいたが、中国でメキシコ人が隔離され、人種差別的な取り扱いを受けたと報道したあとで、メキシカン・フルの呼び方を
改め、豚インフルエンザと呼ぶようになった。

ところが、病原体が豚だという誤解から、エジプトでは政府が国内で飼育しているすべての豚35万頭を殺そうとして、飼育者である少数派であるキリスト教徒と、豚を不浄とするイスラム教徒の間の紛争に発展したり、アメリカでは南部諸州の養豚業者からホワイトハウスに、豚肉の販売に深刻な悪影響が出かねないと強い怒りの圧力がかかったりしたために、マスコミは「豚インフルエンザ」の呼び方を止めた。

日本と同様に「新型インフルエンザ」と呼ぶようになっていた。

それが、である。

日本の神戸、大阪でに感染拡大のニュースが世界で報道されるにしたがい、日本当局の過剰な防疫体制
と、マスクが売り切れてパニックにも見える日本人の不安過剰に、世界のマスコミが好奇の目を向けている。

神戸で開催されたサッカーでは「マスク着用していないと観戦できません」ということで、サポーター全員がマスクをつけて応援した。これまた海外では異様な光景としてニュースになる。

2人の女子高生がニューヨークから帰国すると発病した。すると校長は泣きながら記者会見をして、
アメリカに行かせた責任の謝罪をする。これがアメリカで報道される。

おなじ日、ニューヨークではヤンキースの試合があった。

わくわく亭はそのヤンキース対ロイヤルズのゲームをテレビで見たが、4万数千人の観衆はだれも
マスクをしていなかった。

こうして、日本の不安過剰の現象が、「日本は世界で、やはり特殊な国だ」とまたしても評判されつつあるのだろう。

ここで思い出されるのは、1918年にはじまったインフルエンザ・パンデミックである「スペイン風邪」のことだ。

最初に感染者が出たのはアメリカのデトロイトだったにもかかわらず、疫病の歴史上、いまでも
スペイン風邪(SPANISH・FLU)と呼ばれている。

当時第一次世界大戦の最中だったために、アメリカでの発症がよく伝わらなかった。スペインは
中立国で参戦していなかったために、平和のおかげで大量の感染者発生がしっかり世界に
報道された。以来、スペイン風邪というありがたくない名前が残ったのである。

今回の新型FLUはメキシコにはじまり、アメリカで拡大したものでありながら、
日本人の過剰な反応を見て、「これはJAPANESE・FLUと名づけるといいぞ」と
いいはじめているのだろう。ありがたくない名前を人類の歴史に残したくないものだ。

しかし、石油ショックのときの、あのトイレットペーパー騒ぎ。世界の笑いものになった
日本人のパニック症であったが、今回もマスクで、世界中から奇異の目でわれわれが見られるのは
どうやら間違いなさそうである。

わくわく亭は、いまごろになってコンビニへ寄ってみた。マスクを一つ買うためである。

あるはずがない。

女房がいわく。

「マスク、マスクと不安過剰なのはあなたじゃないですか。売ってなければ、わたしが
ガーゼでこしらえてあげますよ」

ああ、心強い味方がいる。ありがたや。