『諸君!』最終号から
総合誌『諸君!』は最終号らしい編集になっています。
雑誌の名物コラムともなっていた巻頭の「紳士と淑女」29年間の記事の中から、ベストとされる
記事が並べられている。さすがに29年間だけに、世界でさまざまな大事件が起きていたことを
改めて想起させられます。
29年間連載された辛口の巻頭エッセイは、覆面をした名前を明かさない筆者によって書かれていた。
しかし、最終号であるから、覆面をとって名前をあかした。作家の徳岡孝夫さんだった。
その徳岡さんは現在ガンを患って病院に入院中でした。29年という長期連載の終了について
病室でのインタビュー記事が今月はじめだったか、毎日新聞の夕刊に出ていました。
徳岡さんの記事は、どれも舌鋒するどい痛快なものばかりですが、「1988年9月号・リクルート
事件」の記事から、「官界はソ連である…」のくだりを紹介しよう。
21年前の記事でありながら、そこで批判されている日本の官界、国家の実態は旧態依然どころか
さらに悪化していると思われて、暗澹たる思いになります。
官界はソ連である。(いまはソ連は崩壊して、ロシアである) その国にはまず競争の原理が存在しない。自己増殖と責任逃れの原理だけがあり、(略) すでにして158兆円の国債(借金)を発行し、予算の20%は利払いで、普通の会社ならとっくに 倒産しているのに、社員には何の臆する色もない。(略) 国家として完全に行き詰まっているが、いまだにペレストロイカ(行政改革)の気配のないところ、 本家のソ連より遅れている。
1988年の国債発行残高は158兆円だったというが、2009年のいま、その額は850兆円
に膨れあがっています。
そして、行政改革は進むことなく、官界は肥大するばかり。
増大し続けて、将来に展望をもたず、深い闇雲に覆われた不況の時代を迷走しています。