傑作だね
山田紳(やまだ しん)という政治・社会諷刺の一コマ漫画を得意とする漫画家は1940年の
生まれと言うから、今年68歳である。60前の漫画家かと思っていたから、予想よりベテラン
である。
いま政治漫画を描かせたら、ベスト3にあげられる漫画家の一人だと思う。
彼の右に出るものはいない。
麻生首相の似顔絵が、また抜群なのだ。
今日の朝日新聞の一コマは、諷刺の毒がよ~くきいた傑作である。
「麻生のことなら足の裏のシワのことまでよく知っている」とおっしゃっていた官房副長官
が辞任した。
「オレの親爺は酒とオンナで失敗したから、家系だろう」などと、議員宿舎に愛人を泊めていた
スキャンダルが騒がれたあとでも、そんな話など問題じゃないと豪語していたし、
「支持者が宿舎に出入りするなど、まったく問題ではない」と首相もかばっていた。
しかし、「酒とオンナ」でこりない人は、それで失敗するものだ。
こんどは週刊誌がバッチリ写真を撮りまくっていたから、観念するしかなかった。
墓穴を掘った。
それを麻生さんは、またかばおうとして、
「当人が病気だというのだから、そうなのだと思う。病気までが任命責任だといわれても…」
と逃げを打った。
その2日後、鴻池副長官が、記事の内容をおおむね事実と認めた上で、議員パスで熱海へ行った新幹線料
金をJRに支払ったとなれば、もはや任命責任はまぬがれない。
一転して、
「任命責任については、わたしは一貫して…」ウンヌンと記者会見。
この山田紳の漫画が描かれた時点では、まだ「病気までが任命責任といわれても」の段階だった
のだろう。
しかし、山のような女体の裏側に転落する「議員パス」を手にした鴻池副長官。
「これは健康問題だから」という見え透いた逃げ口上。
そして、コメントが「ほとんど ビョーキ なのだ」
とは、麻生政権の発足以来繰り返してきた、緊張感の無い、ゆる~い政治体質そのものが
「ほとんど ビューキ」なのだと痛烈に諷刺されている。
(なにしろ115億円をつかって汐留にアニメだかマンガだかの殿堂という「バベルの塔」らしき
ハコモノを建設しようと発想するお人だから)
いや、傑作である。