杉浦日向子「風流江戸雀」

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1988年に文春漫画賞を受賞した作品です。

「風流江戸雀」に12ヶ月の各月ごとに1話で、しめて12話。1話がきっちり4ページ。

「古川柳 つま楊枝」(Ⅰ)が10話。(Ⅱ)が10話、そして(Ⅲ)が11話。

トータル43話がたっぷり楽しめる1冊。

どれも4ページの小話ながら、起承転結があって、小粋で上質な江戸小話に仕上がっている。

それぞれ話の初めと終わりに、有名な江戸古川柳が掲げてあり、いわば川柳をマクラとオチに

つかったマンガなのだが、話はもちろん杉浦日向子さんのオリジナル。

とにかく、江戸の日常の空気が流れる、なんともうれしいマンガ空間なのである。


上にUPした表紙は2007年11月の小池書院から出版されたデラックス版である。

下にあるのはカバーの折り返しにある遊里の絵である。

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この小池書院のデラックス版を八重洲古書店で買ったときに、たしか読んだ本だが、と

思いはしたのだが、帰って本棚を見れば、はたして新潮文庫で持っていた。

こんなことは、しょっちゅうであるが、文庫とデラックス版とは装幀も挿絵も違う別物。

しまった、とは思わない。

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では、まだこの本を1冊もおもちでない方のために、1話だけ掲載させていただこう。

杉浦日向子さんの江戸情調が味わえる43分の1である。

「相傘の話の切れる水たまり」篇を。(あいがさの はなしの切れる 水たまり)

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好き合う男女のおしゃべりも、さすがに水たまりを越す時だけは中断するもの。

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相合い傘の男女は、男達がからかうものと、いまも昔も相場はきまっている。

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茶屋は、いまでいうコーヒーショップである。

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れていても れぬふりをして られたがり

握られた手を、さっとひいて、惚れているくせに…