VIRGIN

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いかにも岡崎京子らしいタイトルをつけた第一作品集である。

20歳でマンガ家デビューした作者が23歳で出版した初めての本である。

わくわく亭が入手したのは白夜書房版(1985)の初版である。1989年には河出書房新社

から新装版が出ているから、この白夜書房版はいまでは入手困難になっていると思う。

それが八重洲古書館で他の6冊と一緒に買えたのであるから、“ラッキー”ということだ。

作品は「彗星物語」など13の短編をあつめたもので、マンガ家としてスタートしたばかりという

初々しさがあふれる(ということは未熟な作品も多いと言うこと)まさにVIRGIN作品集。

作品として買って読むに値しない程度の、雑誌ページの埋め草的なものが、玉石混淆状態に

収録されている。

後年の岡崎京子の水準と比較しても、見劣りしない作品としては、「彗星物語」ひとつだけ

といえるのではないか。

しかし、それでは処女本への評価としては厳しすぎるだろうから、あと一歩といえる作品を

挙げるとすれば、つぎの3篇だろう。

・タンポンの正しい使い方

・あねいもうと

・愛と悲しみのパーティー

ただし、ファンの心理というものは、たとえ作品の出来不出来関係なく愛するものだ。

この本には、これからマンガ界に打って出ようとする若い才能の野望やいらだちまでが採録されている

ように思われる。

表紙裏に岡崎自身が書いたと思われる著者紹介があるが、それを転記しよう

岡崎京子:1964年東京世田谷下北沢の床屋の長女として生まれる。

 客待ちの貸本を読んで育った。

 跡見学園短期大学生活芸術科卒。何も学ばなかった。

 頭のあんまり良くないのと、おっちょこちょいが玉に傷の下町の明るいお嬢さん》

WIKIPEDIAでは彼女の生まれは1963年12月としてある。

12月だったから、64年として1歳サバをよんだのかも。