退屈が大好き
古書店で買った本には、発売当時の「記念品」が挟まっていたりする。
この1987年発行の『退屈が大好き』には、俵万智さんの短歌集『サラダ記念日』の宣伝チラシ
が挟んであった。どちらも河出書房新社からの発行だから、読者層が重なると思われたのだろう。
若い女の子たちの生態をスケッチした作品を大車輪で描きまくって、この『退屈が大好き』に
まとめて出版されたのが25歳のとき。
しらべてみると、俵万智さんは1962年生まれ、岡崎さんは1963年12月生まれであるから、
1年の違いである。
したがって、俵万智さんの一世を風靡した『サラダ記念日』は『退屈が大好き』とまったくの同世代を
詠っているといえる。
チラシをよ~く見てみると、
「短歌・俳句も劇画調がウケる」「新人類時代」というキャッチが踊っているが、
これはそのまま『退屈が大好き』のキャッチにも使える。
およそ20篇の短いマンガを収めているが、どれも東京に暮らす学生たちのセックスフレンドを
めぐる、ゆる~い男女関係がテーマ。
セックスはしているのに、「恋がしてみたい」とのたまう女の子たち。
充実感がないから、かる~い喪失感とプチ「空虚」を感じつつ、「退屈ってわるくない」と
そこそこの自覚で、そこそこシアワセに、ゆる~く生きる彼女たち。
それこそ、俵万智さんの歌の主人公たちだ。
・「寒いね」と話しかければ「寒いね」と 答える人のいるあたたかさ
・愛人でいいのとうたう歌手がいて 言ってくれるじゃないのと思う